ライフ

眠り下手改善は同時刻起床が肝「眠れないなら寝るな」の教え

 9月3日は「睡眠の日」だと知っていましたか?睡眠について悩みを抱える人に、コラムニストのオバタカズユキ氏が一冊の本を紹介する。

 * * *
 ほとんど知られていないと思うが、9月3日は「睡眠の日」、その日を挟んだ8月27日から9月10日の2週間は「秋の健康睡眠週間」である。

 これは「睡眠健康への意識を高める」啓蒙活動として、2011年に精神・神経科学振興財団と日本睡眠学会が協力して定めたものだ。3月18日も「睡眠の日」、毎年3月11日から25日までは「春の健康睡眠週間」となっている。3月18日のほうは、世界睡眠医学界が「世界睡眠の日」としているのに合わせたものとのことだが、9月3日は「ぐっスリー」だからそうしたという、眠気を誘うに十分なゆるい語呂合わせが制定理由だ。

 ネットで調べても、睡眠の日や健康睡眠週間に合わせたイベントなどの最新情報がいまいちヒットしない。啓蒙活動は知る人ぞ知るどこかで密かに執り行われているようである。だが、睡眠に悩みを持つ日本人は少なくない。厚生労働省の大規模調査である「平成24年 国民健康・栄養調査」も、「睡眠で休養が十分にとれていない者の割合」は、30代で21.6%、40代で23.0%、とけっこうな数字をはじき出している。

 そういえば、「睡眠不足は万病のもと」なる言い方もあった。ぐっスリー眠るためにはどうしたらいいのか。眠り下手をこじらせて久しい私自身にとっても大きな問題だから、この際まじめに学んでみようとしたところ、今年の初めに刊行された『8時間睡眠のウソ。』(日経BP社)という本がためになったので紹介しておきたい。

 この本は、小説もノンフィクションも手がける文筆家の川端裕人氏が、日本の睡眠研究をリードする国立精神・神経医療研究センターの三島和夫ドクターから話を聞いて書きまとめる方式をとった一冊だ。川端氏の筆の運びが軽快で、早速まえがきから、<たとえば、本書で「新常識」とした次のような「事実」は、多くの人にとってとても興味深いのではないだろうか>と本の結論ともいえる内容を、以下のように列挙する。

・日本人は世界屈指の睡眠不足
・「深い睡眠」が「良い睡眠」とは限らない
・睡眠時間は人それぞれ、年齢でも変化する
・シフトワークは生活習慣病やがん、うつ病のリスクを高める
・日本人の体内時計は平均で24時間10分
・眠くなるまで寝床に向かってはならない
・「不眠=不眠症」ではない
・こま切れの睡眠はNG

 さて、どうだろう。興味のアンテナが立つ「新常識」は人それぞれだろうが、私は体内時計の話がちょっとショックだった。というのも、人の体内時計の周期は25時間なので夜更かしになりがちなのは仕方ない、という「常識」が全否定されていたからだ。自分の夜更かし傾向は人類共通の問題のはずだったのだが……。

 三島ドクターによれば、<25時間周期と言われていたのは20世紀の話でして、現代的に洗練された方法できちんと測ると、体内時計の一日の周期の平均は、実は24.18時間(24時間11分)>なのだという。<ただ注意しなければならないのは、これはあくまで平均で、それよりも長い人も短い人もいることですね>ともいう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《24歳の誕生日写真公開》愛子さま、ラオス訪問の準備進めるお姿 ハイネックにVネックを合わせて顔まわりをすっきりした印象に
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン