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Jリーグより高給も 岩政・茂庭ら元日本代表がタイ移籍の謎

 戒厳令が続き、総選挙実施を巡って政治デモが断続的に続いているタイに、「特殊技能」を持った日本人が大挙して押し寄せている。プロサッカー選手たちである。

 タイ・プレミアリーグに続々と参戦し、いまや「日本人が最も多い海外プロリーグ」になっているのだ。下部リーグまで含めると、60人を超える日本人選手が在籍している。

 かつては東南アジアの強国として日本と互角に渡り合った時代もあったが、現在のFIFAランクは157位(8月14日)。W杯出場経験もないタイに行くのはJリーグのレベルに届かない若手かと思うと、そうではない。

 2005年のJリーグ新人王で五輪代表経験もあるカレン・ロバート(29)、元日本代表の岩政大樹(32)や茂庭照幸(32)ら、代表に呼ばれても決して不思議ではない選手もいる。サッカージャーナリストの財徳健治氏が語る。

「タイは欧州プロリーグの中継が高視聴率を取るほどサッカー人気が高い。そこに目を付けたJリーグが2012年にパートナーシップを結んだことがきっかけで、日本人が多く移籍するようになった。

 Jの成功をモデルにしたいタイと、アジア市場での認知度を上げたいJ参加企業のメリットが一致したのです。C大阪はタイに遠征し、現地のチームと対戦することで、母体であるヤンマーの認知度アップに貢献しています」

 選手の待遇はピンキリだという。タイの大富豪や大企業が持つ金満チームは金に糸目を付けずにネームバリューのある選手を獲得する。たとえば強豪のチョンブリFCはかつて監督として日本代表を率いた岡田武史氏に、年俸3600万バーツ(約1億円)のオファーを出したことがある。

 年俸約4000万円といわれるカレンを獲得したのも、やはり資金が潤沢なスパンブリーFCだ。Jリーグの平均年俸が1760万円(J1のみ)の現状を考えれば、かなり好待遇といっていい。が、それはカレンのように元日本代表のブランド力がある場合に限るようだ。「弱小チームでは給料の遅配や、突然契約を打ち切られることもある」(前出・財徳氏)。

 それでも「物価が安いことを考えれば、バイトで生活費を補填するJ2選手より生活に不自由しない」(サッカー協会関係者)ので、今後もタイに渡る日本人プロは増えていくのではないだろうか。

※週刊ポスト2014年9月5日号

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