北京の消息筋は「首都農業集団の成立後、特供は北京ばかりでなく、中国全土で運営されている」と明かす。1980年代後半に改革・開放路線が軌道に乗り始めると、中国全体が金儲けに奔走するようになり、ニセ物が市中に出回り、化学肥料にまみれた農作物や添加物だらけの加工食品、成長ホルモン剤が投与された家畜など、食の安全が脅かされるようになったからだ。
「それにともない、特供システムは一段と充実されるようになり、北京市内ばかりでなく、各省自治区でも増設、整備が進んでいる」(同筋)。湖北省の鶏卵、内モンゴル自治区の牛肉や羊肉、湖南省の豚肉、コメは遼寧省、果物は広東省など数え切れないくらいだ。
それらのさまざまな食材が習近平ら高級幹部に供されるために、生産されている。
「それらの食材は毎朝、党政府の主要機関や幹部の居住区が集中する中南海や市内各所の幹部専用のスーパーマーケットに運ばれてくる。まず、中南海の幹部専用のレストランの職員が購入するほか、幹部のお抱え料理人やお手伝いさんも買いに来る。しかも、値段は市販の半額以下で、まさに幹部の特権だ」
と、これらの店舗を訪れたことがある同筋が指摘するほどだ。
文/相馬勝
※SAPIO2014年8月号