さらに国家戦略特区内では「雇用相談センター」を設け、ガイドラインに沿っているかどうかを企業が確認するためのプロセスも設けることになった。福岡市ではこの仕組みを最大限に活用しようとしている。
「今年の秋頃には、雇用労働相談センターに加えて、人材のマッチングや起業に関する情報提供などを行なうスタートアップカフェのオープンを予定しています。創業に必要な機能を詰め込んだスタートアップ・コミュニティの交流拠点を形成することにより、チャレンジする人・再チャレンジする人を応援していきたいと思います」(袴着氏)
特区指定を受けて、企業が新たに福岡に進出する動きもでてきた。
そのひとつがKAIZEN platform。リクルート出身者らが2013年に米国でスタートして急成長中の企業だ。ウェブサイトのデザインをより効果的に改善するためにテストを行なうサービスを展開している。同社は、デザインのテストを担うクリエイティブ人材(グロースハッカー)をクラウドソーシング型で確保しているが、今年7月、福岡での人材獲得・育成(300人)を発表した。同社グロースハックネットワーク主宰の鬼石真裕氏によれば、
「これまで500名程度のクリエイティブ人材を、都内中心で確保していた。しかし、都内だけではさばけないので、分散したいと以前から考えておりました。
そこで、福岡市がスタートアップ特区になったことに注目し、福岡を拠点に、新たに人材育成とネットワークづくりを開始することにしました。将来的には、月収80万のクリエイター人材を200名輩出することが目標です」
ということだ。
※SAPIO2014年10月号