340年続いた遊廓「吉原」は、文化の発信地であり、テーマパーク的側面もあった。女性も物見遊山で訪れた色街独特のしきたり・ルールを、作家の永井義男氏が解説する。
【馴染みになるまで時間と金がかかる】
妓楼に通う回数により、“初会(1回目)”“裏(2回目)”“馴染み(3回目以降)”と客の呼び名が変わった。
「花魁は3回通わなければ肌を許さない」というのは、永井氏によれば「伝説」だが、馴染みとなるまで、その都度祝儀を取られる。
呼出し昼三(昼夜とも揚げ代が金三分の最高級遊女)と遊べば、酒宴代や祝儀も含め現代の感覚でいえば一晩で約100万円かかった。
【相部屋の情事は筒抜け】
下級遊女と相部屋で交わることを“割床”といい、屏風1枚の仕切りしかなかった。 部屋・座敷持の上級遊女の場合も、ダブルブッキングすると相部屋で割床に。規定の揚代を払いながら、一晩中遊女が現われないという悲劇もあった。
【同じ妓楼内で浮気はご法度】
馴染みの遊女が先客中の場合、客には遊女の妹分・新造が派遣されることもあったが、手を出すことは厳禁。同様に、同じ妓楼内で別の遊女を指名したり、楼主や若い衆との恋愛もタブーだった。
※SAPIO2014年10月号