憎むべき犯罪が急増中だ。警視庁によると、盗撮にかかわる迷惑防止条例違反の検挙件数は2008年に171件だったものが2013年には633件に。5年間で実に5倍に増えた。
2013年の警察白書によると、盗撮場所は、「駅構内」「ショッピングモール等商業施設」が全体の6割近くを占める。しかし、全国盗撮犯罪防止ネットワークの平松直哉さんは他の場所でも注意すべきと主張する。
「盗撮マニアは本来男性が入れない場所を好み、各地の温泉やスーパー銭湯の脱衣所や浴場、女子トイレ、会社の更衣室などがよく狙われます。更衣室や浴場には女性の盗撮犯がシャンプーやトリートメントのボトルなどにピンホール型カメラを仕込んだ“お風呂セット”を携えて潜入し、女性ばかりで気が緩みがちな客を盗撮するんです」
女子トイレや更衣室には女性の協力者があらかじめカメラをセットしておき、後に回収する。
「実際、トイレで水を流す時に手をかざすセンサーユニットや和式便座の金隠しにカメラが隠されていたことがありました。和歌山の海水浴場では盗撮業者が海水浴客用の無料トイレをわざわざ作り、最初から盗撮用カメラを仕込んでいたこともあります。盗撮目的でバイトやパート従業員になり、目的地に潜り込むこともあります。女性従業員がトイレや更衣室に機材を仕込んで盗撮し、目的を完遂したら仕事を辞めてトンズラするんです。それらも某観光ホテルやハンバーガーチェーン店で実際にあったケースです」(平松さん)
ここまで大々的に盗撮が行われるのは、そこに“マーケット”があるからだ。
「今や盗撮は趣味として個人で楽しむだけではありません。以前なら盗撮画像や映像はセルビデオとして店舗で販売されていましたが、今はネット上の有料会員サイトで公開されることがほとんどです。
昔から盗撮業界はマニアの集まりで、肥満、痩身、巨乳、貧乳、幼児から熟女まで老若男女や容姿を問わず幅広い需要があります。彼らは会員サイトに群がり、お金を払って盗撮画像や映像を入手します。今や盗撮は “金の成る木”であり、反社会勢力の資金源になっています」(平松さん)
そんな盗撮から身を守るにはどうすればいいだろうか。
「いつでもどこでも盗撮されていると自覚して防御するしかない。最も狙われやすいエスカレーターでは、前向きでなく横向きになると盗撮できなくなる。露天風呂など風景のいい場所では気が緩みがちですが、盗撮魔は海上の船から望遠カメラで狙ったり、山の中に潜んでいたりすることもあるので周囲をよく見回してから入浴しましょう」(平松さん)
有効なのは男目線になることだ。
「よく狙われるのはパンチラと胸チラ。トイレならお尻、陰部、顔の3つです。男性が見たがるそれらの部位が、トイレならばどの位置からよく見えるのか、風呂場ならどの高さがよく撮れるのかなど想像してカメラがないかを確認しましょう。ネット社会において盗撮画像は拡散しやすくなり、被害者は耐え難い2次被害、3次被害を被ります。あまりに野放しでやりたい放題なので、抜本的な法整備が急務です」 (平松さん)
それまでは自分の裸は自分で守るしかなさそうだ。
※女性セブン2014年10月2日号