だが、制度を利用する当の短時間正社員にも相当の覚悟が問われることを忘れてはならない。
「短時間正社員は席を空ける時間が多いので、居ない時間帯の仕事の引き継ぎをはじめ社員間の情報共有は欠かせません。極端にいえば、同僚が自分の机を見ても何の仕事をやっていたか一目瞭然で分かる状態にしておくなど、業務の効率化やビジネス上の気配りは一般の正社員の3倍は必要です。
そうした努力をせずに、短時間正社員であることを盾にとって“私には仕事よりも大事なことがあるから”と甘えの言葉を口にして、職場で孤立してしまう人が少なくありません」(稲毛氏)
では、多様な雇用形態が混在する今、短時間正社員が根付くための条件は何か。稲毛氏は「決められた時間内に仕事を完遂させるという責任感を持つこと」だという。
もちろん、残業ありきでダラダラと働くフルタイムの正社員にも同じ意識改革を促さなければ、人手不足に悩む企業の生産性はかえって非効率になるばかりだ。