芸能

今年は時代劇の当たり年 魅力は「現実逃避」と「爽快感」

 今年は時代劇の当たり年。8月9日、第18回ファンタジア国際映画祭(カナダ・モントリオール)で『太秦ライムライト』(公開中)が最優秀作品賞と、最優秀主演男優賞受賞のニュースが飛び込んできた。

「主演は“5万回斬られた男”こと福本清三さん(71才)。55年の役者人生での初主演作品で主演男優賞を獲ったって、素晴らしいじゃないですか。日本人って自分の手元にあるものの良さって気づいていないけど、京都で何十年もやってきたことが、こうして海外でちゃんと評価される。日本の良さに気づくべきですよね」

 そう力説するのは、時代劇好きで知られるコラムニストのペリー荻野さんだ。

「『太秦ライムライト』は、長年斬られ役を演じてきた老優と新進女優の心の交流を描いた感動の物語。時代劇が隆盛だったらできなかった映画なので、そう考えると痛しかゆし。時代劇ってだけで、敬遠する人もいるけど、一度見てほしい。本当に面白いから!」(ペリーさん・以下「」は同)

 今年前半の映画界は、“アナ雪”一色だったが、その陰で、6月21日に公開された『超高速!参勤交代』は公開2日で“アナ雪”に続く2位となり、興行収入15億円を突破。大ヒットしている。民放の時代劇ドラマ枠はなくなったものの、今秋に公開される作品も多く、時代劇映画に注目が集まっている。

 子供の頃から時代劇好きだったというペリーさんは、その魅力をこう分析する。

「良いのか悪いのかわからないけど、私の時代劇は“現実逃避”。あまりにも自分に近い設定の現代ドラマだとくたびれてしまう。その点、時代劇は思いっきり遠い。現代ではありえないことを言っても、時代劇では許されるんですね。

『許せん』、バサッみたいな。“必殺”だって、金をもらって人を殺すなんて、悪いに決まっているのに、正義の味方に見えたりしますよね。そういう展開を受け入れられるところが面白い。悪いやつがバッタバッタ斬られるという、立ち回りにスカッとするという喜びもあるんですけどね」

 現代にはない身分制度が江戸時代にはあるが、その身分差がドラマを生む。理不尽なことも現代よりも一方的で、無理やり切腹させられる。貧しい暮らしから、口減らしのために花街に売られることも少なくない。

「圧倒的にセクハラ、パワハラ、殺人、詐欺、なんでもOKの世界。その中でも人はたくましく生きていく。これがドラマチックで感動しちゃうんですよ」

※女性セブン2014年10月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン