国税庁が調査した「相続財産の金額の構成比」(2012年度)によれば、不動産(土地と家屋)は51.2%、現金・預貯金が25.4%、有価証券12.3%、その他が11.1%となっている。つまり相続財産の半分は「不動産以外」の金融資産が中心となっている。
親が亡くなってからでは、資産の在処を確認することはより困難になる。そのため存命中に資産を整理・分類し、できればその内容を可能な限り理解しておきたい。
実家の親と離れて暮らしている場合、へそくりやタンス預金どころか「大切なものの置き場所」すら把握できていないことが多いのではないか。特に預金通帳、保険証券、土地の権利証、年金手帳などの所在を知ることは重要だ。「いつか整理しよう」と先延ばしにしていると、これらを探し出すだけでも大変な労力がかかり、後に遺品の選別に膨大な時間を費やすことになってしまう。
親が「大切なもの」の所在を忘れてしまっていたり、隠していたりということもままある。具体的には電子化前の「紙の株券」、へそくりをはじめとする「タンス預金」などだ。
兵庫県出身で、東京在住のA氏(65)は、89歳で1人暮らしをしていた母が亡くなった後に実家を片付けていて「あわや」ということがあった。
「家財道具の処分を業者に依頼していたのですが、ベッドを運び出す最中に、ベッドの下にガムテープで封筒が貼り付けてあるのに気がついたんです。中には母名義の定期預金の通帳があった。300万円もの残高がありました。普段の生活に使っている口座とはまったく別のもので、おそらく万が一の時のために貯めていたものだったのでしょう。もう少しで気づかず捨てるところでした。
他にも、書棚の百科事典の間に現金が挟んであるのを見つけました。こちらは10万円ほどで、もしかしたら10年ほど前に亡くなった父のものだったのかもしれません」(Aさん)
寝室周りや神棚・仏壇、書斎などは大切なものを隠したりしまいこんだりしやすい場所。これらの在処を生前にすべて突き止めるのは難しいが、親とコミュニケーションをとりながら現金の置き場所をまとめたり、銀行口座を一本化することを促すのも効果的だ。
※週刊ポスト2014年10月3日号