8K放送の世界標準化を目指すNHK(CEATEC JAPANより)
放送行政を牛耳る総務省のロードマップでは、東京オリンピックが開催される2020年をメドに、4K放送の「本放送」をCSで2015年、BS(放送衛星)でも2018年から開始したい方針だ。また、8KもBSで2018年の本放送開始を目指すなど、強引なインフラ整備に突き進む。
つまり“東京五輪は4K/8Kで!”と視聴環境を急ピッチで整え、日本の最先端放送技術を世界にアピールする狙いも込められているのだ。果たして思惑通りに事は運ぶのか。
「4K、8K普及の最大のネックは地上波で放送する予定が立っていないこと。伝送技術ができていないことに加え、2011年に地上アナログ停波の“買い替えプロジェクト”を行ったばかりで、再び4K、8K放送に全面移行したら大問題になるからです。
2020年の東京オリンピックは4KについてはBS、CS放送が中心で、衛星アンテナがなく、地上波しか見ない大多数の人は引き続きハイビジョンテレビで楽しむ。8Kについてはテレビが市販化されても量産化には程遠く、画面サイズの単価も高いでしょうからバブリックビューイング的な放送がメインになる可能性があります」(前出・安蔵氏)
究極のテレビ開発は結構だが、国内の視聴者が4K、8Kのメリットを最大限享受できないままの“代物”なら、世界に誇れるはずもないだろう。