学生からの授業評価を実施し、大学といえども教員の授業方法を見直すのが今では当たり前となった。そのため、前述のような板書を記録しづらい授業は減り、代わりに資料を配付されることが多くなっている。この配付資料を読み込みさえすれば、手書きでノートにまとめるコツを自分で編み出さずとも学生は学ぶ内容を理解しテストも通過できるようになっている。
ところが、この懇切ていねいな資料をスマホで悪用する場面が出現している。ある私立大学の大学院生は、定期試験の監督補助についたとき試験どころではない騒ぎに遭遇した。
「ノート代わりの資料をすべてスマホで撮っておいて、机の陰にこっそりスマホを置いておきカンニングしていました。この手口を使うのは留学生に多いという話です。留学生の間で教えあって広まったようですね。試験監督に見つかり、教務からすべての単位が取り消されますとルールを告げられたら、留学したことすべてをぶち壊すのかと全身全霊で大騒ぎされて大変でしたよ」
カンニングのようなルール違反は論外だが、手軽に記録できるスマホで撮影する行為は今後もなくならないだろう。OCR(光学文字認識)機能も向上しており、ますます便利になるのは間違いない。Apple WatchやRing、SmartBandやGoogle Glassなどウェアラブル端末が普及する未来には、学習や記録のためにどのような行動が見られるだろうか。