ライフ

リクルートが試験運営中 電話で「心のマッサージ」は可能か

 リクルートが電話による心理カウンセリングの事業を試験的に始めた。疑問視する声もあるが、誰かに話すことで解決する気持ちのモヤモヤもあるのではないか。コラムニストのオバタカズユキ氏が考えた。

 * * *
 どうもこのところ気分が晴れない。我慢するだけでは窒息してしまう。この気持ちをまるごと誰かに聞いてもらってスッキリしたい……。

 というような心のモードの経験者は大勢いるはずだ。では、そんな時、いったい誰に自分の気持ちを聞いてもらえばいいのか?

 まずは家族、と常識人は言う。でも、一番身近な家族に妙な心配をかけてくないし、思い切って話して嫌な顔をされたら最悪だ。それに、往々にして問題の根っこは家族関係だったりするものである。

 ならば、話し相手は友達に限る、と良識人は言う。だけど、そもそもの話、そういう何でも話せる間柄の友達がいたならば、こんなふうに行き詰ったりしないものだ。はっきり言って自分はいつも孤独。だから、自分の気持ちを誰かに聞いてほしくなるのである。

 筆者の場合、そうですね、バーに行く。いや、スナックでもいいのだが、要は愚にもつかない自分の話を、「そういうことってありますよ」「あなただけじゃないわよ。うちの店の常連たちなんか、みーんな同じ(笑)」と軽く受け止めてくれる飲み屋に出向く。日本全国津々浦々、飲み屋が必ず存在するのは、日本人が酒好きだからというよりも、そこが心の解放区として大いに機能しているからだと筆者は思っている。

 とはいえ、そんな店が簡単に見つかるものではないのも事実だ。それに、いくらいい店があったとしても、そこであまり自分語りを続けてしまったら居づらい雰囲気になるものだ。だいたい酒が飲めない人は行きづらい。

 ならば、どうするか。人によってはギャンブルで憂さを晴らす。風俗に走るのも古典的な方法。なんらかのオタク系世界に浸かる、ってのもある。男はだいたいそんなところだ。これが女だと、自分の気持ちをまるごと聞いてもらえる保証はまるでないけど女子会で思う存分くっちゃべる、という方法をよくとる。甘いモンを食いまくる、買い物をしまくる、やり方もある。

 ただ、それらはいずれも対処療法にすぎないというか、何かに意識を集中することで現実の自分に向き合わないよう逃げているだけだ。逃げ切れるのなら、それでもいいが、問題はいよいよ自分が煮詰まってしまった時だ。

<ずっとどん底にいる気がする。そこから抜け出し、新しい自分に生まれ変わりたい>

 そう思ったら、電話を使って専門家による「オリジナル心理カウンセリング」を受けてみてはいかがですか、というのは「RAPPORT(ラポール)」というリクルートが運営する、心理カウンセリングサービスである。2014年12月20日(土)までの期間限定で、試験的に運営している最中である。

<ラポールのカウンセラーは『臨床心理士』『精神保健福祉士』『産業カウンセラー』の信頼性の高い3つの資格のうち、いずれかを保持しています。
心理学、カウンセリング理論を学び、豊富な実践経験があるカウンセラーを厳選しています>

 とりあえず、窓口のサイトには、3人の臨床心理士と1人の産業カウンセラーが、写真入りで紹介されている。カウンセリングを予約すると、料金の支払い方法がメールで案内され、指定の日時に4人のうちのどの先生かが電話をかけてきてくれるらしい。

 で、<認知行動療法を基盤とした、ラポールの心理カウンセリング>を実施してくれ、<カウンセラーとの対話によって、客観的に自分を見つめ直すことができます。ラポールが提供するTalkTherapyでは、さらに目標を設定し“新しい自分”に向かうお手伝いをします>とのこと。

 肝心の料金は、1セッション約50分で5000円。延長なし、電話の通話料は先方持ちだそうだ。

 ちなみに、ラポールは<悩みはあるけど、病院に行くほどではない>人を客として想定している。誰でも予約できるが、唯一、対象外として<心療内科・精神科に通院中で医療行為が必要な方のカウンセリングはお断りさせて頂いております>と規定している。ほんまもんのビョーキの人は電話相談じゃ手に負えないからダメよ、ってことだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
解散を発表したTOKIO(HPより)
「城島さん、松岡さんと協力関係は続けていきたいと思います」福島県庁「TOKIO課」担当者が明かした“現状”と届いたエール
NEWSポストセブン
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン
映画『国宝』で梨園の妻を演じた寺島しのぶ(52)
《無言の再投稿》寺島しのぶ、SNSで2回シェアした「画像」に込められた歌舞伎役者である息子・尾上眞秀への“覚悟”
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
吉沢亮演じる喜久雄と横浜流星演じる俊介が剣幕な表情で向かい合うシーンも…(インスタグラムより)
“憑依型俳優”吉沢亮主演の映画『国宝』が大ヒット、噂される新たな「オファー」とは《乗り越えた泥酔事件》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン
元横綱・白鵬の宮城野親方に相撲協会はどう動くか(八角理事長/時事通信フォト)
八角理事長体制の相撲協会に「70歳定年制」導入の動き 年寄名跡は「105」しかないため人件費増にはならない特殊事情 一方で現役力士が協会に残ることが困難になる懸念も
NEWSポストセブン
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
NEWSポストセブン