国際情報

中国パクリ遊園地職員「7人の小人は著作権ないから大丈夫」

 知的財産権無視の姿勢が強く批判される中国のパクリ遊園地。ジャーナリスト・西谷格氏が中国の最新型遊園地、山東省煙台市蓬莱にある「欧楽堡夢幻世界(英語名・ユーロパーク)」に“キャスト”として潜入した。面接は5分程度で終了、2~3日の試用期間で様子を見て、本採用なら月給は1500元(約2.7万円)という条件だった。

 * * *
 翌日、朝8時に出勤すると「演芸部」というパレードやダンスを担当する部署に配属された。コンクリート打ちっぱなしのスタッフの控え室には王子様やお姫様のような派手な衣装がハンガーに掛けられていた。手持ち無沙汰なので控え室を物色していると、無造作に7人の小人の頭部が床の上に転がっているのを発見。ネットで見たのはこれに違いない。

 よく見ると、洗浄が不十分で全体的に黒ずみ、目つきが何となくホンモノと違う。口元は笑顔でも目が笑っておらず、可愛らしさが決定的に欠けているのだ。試しにかぶらせてもらったが、汗の染みこんだ剣道の防具のような臭気に満ちていた。

 しばらくすると、演芸部の女性部長(40代)から「倉庫に荷物を運んでほしい」と用事を申しつけられた。倉庫に行くと、怪しい目つきのミッキーマウスとミニーマウス、ドナルドダックといったメジャーなディズニーのかぶり物が鎮座していた。

 これらも使われるのだろうか、と女性部長に聞くと、「今は客が少ないから使ってないのよ」とのこと。では、客が多い時は使うのか? と問うと、「いや、そういうわけでもない……」と言葉を濁された。いずれにせよ、現在では使用中止となっているのだ。別の女性スタッフにミッキーマウスやミニーマウスのかぶり物のことを聞くと、

「現場判断で開園直後は使っていたが、それを知った上層部から使うなと言われた。ミッキーマウスやドナルドダックは著作権があるから、使ったらマズイのよ」

 かといって7人の小人ならよいのか?

「小人は大丈夫。あれに著作権はないから」

 と言い切られた。『白雪姫』の物語自体には西遊記や桃太郎などと同様に著作権がないのは確かだが、ディズニーのキャラを使っているのであれば、別途商標権の問題があると思うのだが。7人の小人がディズニーの中で、ミッキーマウスやドナルドダックに比べて知名度が低いことも、そうした勘違いをさせている理由かもしれない。(続く)

※SAPIO2014年12月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン