このたび、『強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話』(徳間書店)という本が発売された。古代ギリシアの哲学者・ソクラテスさながらの風貌のオヤジが息子たちを塾どころか高校にも通わせず、破天荒なやり方で全員を京都大学合格に導いたことを描いたノンフィクションだ。
3兄弟は本、映画、ロボット作りなどの“家庭教師”から楽しみながらさまざまなことを学んできたが、オヤジが最後に送り込んできたのはリアル家庭教師だった。
この本を書いた、長男で学習塾「探究学舎」の塾長をしている宝槻泰伸さん(33才)は語る。
「禅寺の和尚や芥川賞作家、藍染め職人から豆腐屋のおっちゃんまで、バラエティーに富んだオヤジの友達を家に招いては、ぼくらとコミュニケーションさせるのです。ぼくたちにとってはまさに未知との遭遇のようなものでした。
母親は専業主婦をしていたんですが、男4人とそうした大勢の客人の世話を一手に引き受けていました。もともとは穏やかな人だったんですが、オヤジのせいで激しくなってしまって…(笑い)。母親の存在がなければ宝槻家は成り立たなかったでしょうね。
でも、こうした大人たちと出会い、その人の生き様に触れることで、自分はどんな人物になりたいのか、どんな世界にかかわりたいのかを考える、いいきっかけになりました」
宝槻さんが高校3年になるとオヤジは、ついに自分で塾を開いた。その名も「プラトン学園」だった。
「怪しすぎる名前のせいで、結局3兄弟とその友達しか集まりませんでした(笑い)。勉強法はユニークでしたね。英語なら音読と暗唱をひたすら繰り返すのですが、その前に必ず小ネタを披露するんです。“シュリーマン(トロイア遺跡発掘者)という18か国語を操る人の学習法が音読・暗唱法だ”といった具合です。ただやらせるのではなく、少しでも興味を持たせる。数学では三角比に関連して伊能忠敬が出てきたり、微分積分でアポロ計画の話になったり。子供は知的な感動を得ると、自然と学び勉強するようになるんですね」
※女性セブン2014年12月11日号