芸能

「極妻」岩下志麻 当初は戸惑いと葛藤があったことを明かす

 やくざ世界に生きる女たちの生き様を描き、空前のヒットとなった『極道の妻たち』(東映)。シリーズ累計15本、観客動員数670万人。ビデオやDVDの販売も70万枚を突破し、未だに根強く支持される。とりわけ印象的だったのは、初代から計8作登場した岩下志麻。今でこそ「岩下志麻なくして、極妻なし」といわれるほどの当たり役となったが、当初は戸惑いがあったと明かす。

「ピストルを撃たなきゃいけないし、背中に刺青をいれなくてはいけない。これまで演じてきたものとはまるで違う世界の女性像ですし、最初はとても躊躇しました。ですが信頼する五社英雄監督の『これまで岩下志麻になかった、粋とあだっぽさをこの作品で僕が出してあげる』という言葉で、私も潔く踏み切れました」(岩下、以下「」内同)

 それでも、役作りでは葛藤した。

「いつもはホン(台本)を読み、色々な場所へ見学に出かけて役作りをするので、この時も『本物の極妻さんの家に3日間ほど泊まって、生活を体験して役作りをしたい』とプロデューサーさんにお願いしたら『とんでもない』と、いわれてしまって(笑い)。でも『岩下志麻の極妻でいいんだ』と託していただけて、逆にイメージが膨らみました」

 着物を着てピストルを撃つという、現実世界にはない劇画タッチのシチュエーションが、極妻のロマンではないか──と岩下は語る。そのため、衣装からこだわった。1986年公開の第1作『極道の妻たち』ではまだスタイリストがついておらず、劇中の着物はすべて五社監督と呉服店へ出向き、試着して選んだもの。どのシーンでどの着物を着るかも自ら考えた。

「粋さが出る縦縞の着物が多かったですね。着付けもこだわりました。ピストルを撃つならば格好よくなくちゃいけないと、襟元をスーッと開けて。胸元にはプチネックレスをつけてみたり、ピアスを合わせることで、異質な世界を演出しました。帯も下めにつけ、ちょっと斜めに大きく締めることでやはり粋さを出してね。外股で歩いたり、顎を上げて低い声で話すことで、私が思う極妻像に近づけていったんです」

※週刊ポスト2014年12月12日号

関連記事

トピックス

盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
モサドの次なる標的とは(右はモサド長官のダビデ・バルネア氏、左はネタニヤフ首相/共同通信社)
イスラエルの対イラン「ライジング・ライオン作戦」を成功させた“世界最強諜報機関”モサドのベールに包まれた業務 イラン防諜部隊のトップ以下20人を二重スパイにした実績も
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン