人は見かけではないというけれど、やはり外見で左右されることも多いというデータがある。ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が、外見によってどのように人は変わるのかについて解説する。
* * *
男女問わず、年齢を重ねてくると、思わぬところで“トホホ”と頭を抱えたくなることが多くなる。くしゃみや咳などでほんのわずかな失禁をする“ちょい漏れ”などもそうだが、外見をめぐってもトホホな話が多い。たとえば顔の特徴で第一印象がガラリ変わるというデータだ。
イギリスのヨーク大学で、1000人の顔写真を元に印象を調査した。有名な大学なのに、ずいぶん面白い調査をしたものである。結果として、親近感を持ってもらうには口角を上げる。若々しい印象を与えるには大きく目を開いて目力を出すことが一番必要なのだそうである。
僕は昔から年齢以上に見られる。「年取れば若く見られるよ」と慰められたが、年を取っても上に見られる。髪のせいかもしれない。
先日は講演会で「カマタ先生は日野原重明先生と仲がいいですよね」と訊かれた。ぎゃふん! カマタ66歳、日野原先生は103歳。「知り合いですが、同級生ではありません!」──目力を出さないとまずいなあとヘコんだ。
またビジネスを成功させたり競争に勝つために、優越性を感じさせるには、顔のパーツを中心に寄せてキリッとさせるのがいいらしい。目や鼻を真ん中に集中させる努力をしてみているが、これでカマタの印象は変わるだろうか?
残念だけど、外見は大事。太っていると収入が低いということもデータでいくども指摘されてきた。スウェーデン、イギリス、アメリカの14万人のデータを分析したところ、肥満の若者はそうではない若者に比べて、年収が18%も低いことが分かった。
※週刊ポスト2014年12月12日号