同党本部ロビーの書棚には、たとえば〈南京大虐殺と従軍慰安婦はなかった〉と題されたパンフレットが置かれている。内容の是非はともかく、そこに記された「日本の誇り」「自虐史観」「反日プロパガンダ」といった文言の用い方は、確かにネット上で多用されるそれと似ている。
草の根的な保守運動を「信者獲得のための草刈り場としているのではないか」(先の活動家)といった見方も広がるなか、教団側は何と答えるだろうか。私は里村氏へストレートに訊ねた。
──幸福実現党は保守なんですか?
「色分けでいえばそういうことになりますね」
──右翼ですか?
「違います。右翼じゃないです」
──もちろん極右でもない?
「色々と聞かれる機会が多いのですが、右でも左でもなく、真上だってお答えしています」
どこか人を煙に巻いたような回答である。私は同党が発行した慰安婦問題に関するビラを手にして、噂される各地での活動について説明を求めた。その瞬間、長時間の取材にあって、雄弁だった里村氏が少しばかり口ごもった。
「たとえば知事選での怪文書配布などに関しては、事実であれば困ったことであるし、少なくとも党の正式な活動ではありません。党員のなかにも色々な考え方を持った人もいらっしゃるので、縛ることもできないのですが……」
あくまでも「個人レベルの話」だとくぎを刺す。
※SAPIO2015年1月号