ビジネス

宅配業は成長産業だが人手不足 「辛いのに儲からないから」

 便利に、快適に進化してきた日本の宅配システムが限界に達しつつある。この数年はネット通販の荷物が爆発的に増え、大手業者でもさばききれない日も少なくないという。こういった事態が起こる理由のひとつは、物流能力そのものが落ちていることだ。

 宅配便は1台のトラックで発送元から発送先に送られるわけではなく、以下のような流れで届けられる。

 まず利用者が依頼した荷物は「宅配センター」に集められ、大型トラックで「ベース」と呼ばれる仕分け拠点に運ばれる。そこで長距離トラックに積み込み、発送先の「ベース」へ運送する。そこから「宅配センター」に運び込まれ、ようやくセールスドライバーによる宅配となる。この間には3~4度の積み換えがあり、当然、それだけのトラックが必要になる。

 つまり1個の荷物が玄関先に届くまでには、各地方をつなぐトラック輸送ネットワークがカギとなる。ところが、それを支える運転手が不足している。

 トラック運転手は2006年の92万人をピークに減少を続け、現在は80万人を切った。高年齢化も理由の1つ。大型トラック運転手の35%を50歳以上が占め、30歳未満はわずか4%程度。国土交通省は、来年にはトラック運転手が14万人も不足すると予測している。

 台数も減っている。1997年に870万両だったのが、2012年には607万両まで減った。輸送トン数は1997年に59億トンあったが、2012年には43億トンに下がっている。宅配の個数が激増する一方で、それを運ぶ能力は落ちる一方なのだ。

 運転手不足の理由は、短期的に見れば免許制度の改正により運転手の数が減ったことも見逃せない。2007年に道路交通法が改正され、従来、普通免許で運転できた車両重量5トン以上、11トン未満のトラックの運転にも中型免許が必要になった。さらに大型免許の試験も難しくなったことで、若年層の合格者が減っているとされる。

 また、近年の長距離バス・トラックの重大事故を受けて、「1日の休息期間は継続8時間以上」、「時速90キロ以上出ないようにスピードリミッターの装着」などの労働環境に対するルール強化も輸送力低下につながっている。

関連キーワード

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン