ビジネス

東京の受動喫煙対策「強制なら経営苦しくなる」と飲食団体ら

東京都受動喫煙防止対策検討会(第2回/12月10日)

 2020年の東京オリンピックを見据え、今後あらゆる分野で規制強化の動きも出てくるだろうが、いち早く俎上に載せられているのが街中での「受動喫煙対策」である。

 舛添要一都知事も、<2020年を前に、本格的に受動喫煙による害を防ぐことは大事>と述べるなど、飲食店など公共スペースでの分煙、もしくは全面禁煙をルール化した条例整備も選択肢の1つとしている。

 そんな中、10月下旬より開かれているのが、有識者らで話し合う「東京都受動喫煙防止対策検討会」だ。

 委員に選出された12名の顔ぶれを見てみると、日本医師会副会長の今村聡氏や公益財団法人日本対がん協会会長の垣添忠生氏など7名が医療関係者ということもあり、たばこが及ぼす健康被害についての見解が優勢になりがち。受動喫煙はもとより“禁煙推進”の方向性も示されているという。

 しかし、12月10日の第2回検討会では、商工会議所や飲食店組合、ホテル旅館組合など現場を束ねる各種団体の担当者が意見聴取で参加し、行き過ぎたたばこ規制に反対の立場を口々に訴えた。

「企業や飲食店などの経営は顧客の喫煙ニーズが重要視される場合もあるし、完全分煙を科せられても設備投資が生じて経営を圧迫する恐れがある。規制ありきで受動喫煙防止を一律に求めるのは難しい」(東京商工会議所のサービス・交流部長、安嶌潔氏)

「飲食業界にとって、たばこを吸う人も吸わない人も大事なお客様。喫煙可能な店でも外でたばこを吸うお客さんがいるなど、周囲に気遣いながら飲食を楽しんでいる。画一的な規制ではなく、店それぞれのスタイルで営業してもいいのではないか」(東京都飲食業生活衛生同業組合の常務理事、宇都野知之氏)

 東京都ホテル旅館生活衛生同業組合の齊藤源久氏も、「100室以上あるビジネスホテルは階ごとに喫煙・禁煙フロアを分け、ロビーにも喫煙ルームを設けている」と述べ、すでに分煙の考え方は浸透している現状を報告した。

 また、検討会では2010年に公共スペースでの受動喫煙を防止する条例を制定した神奈川県を例に挙げ、個人飲食店で売り上げが減少したり、経営難から条例に対応できない店舗が多いといったデータも紹介された。

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト