警備員が数人がかりで彼女を説得し、見物人を排除する。だが、あちこちからデボラを賞賛する拍手が起こり、「ブラボー!」の声も上がる。最初は心なしか緊張した表情だったのに思わぬ声援に力を得たのか、彼女は悠然と微笑んだまま性器を見せ続けた。
約5分後、とうとう警察官が現われて彼女を連行した。彼女の背中には、さらに大きな拍手が送られたのだった──。
フランスにも日本と同様、「公然わいせつ罪」がある。フランス刑法第222-32条には「公衆が立ち入ることのできる場で、他者の面前で性器露出を行なった場合、1年の懲役と1万5000ユーロの罰金を科す」とある。
警察官は当初、「あなたの行為は性器の露出にすぎない」と追及し、デボラを撮影していた来場客には「写真や映像をインターネットにアップしてはいけない」と注意した。
しかし、4時間の取り調べの末、デボラは無罪放免となった。そしてこう語った。
「私は5人の警察官を相手に『私の行為はあくまでアートパフォーマンスだ』と訴えました。粘り強い説明の結果、警察官が私の芸術を認めてくれたのです」
※週刊ポスト2015年1月16・23日号