しかし、いつまでもコストパフォーマンスの優位性を保てるとは限らない。前出の中村氏が続ける。
「いまの円安で牛肉の輸入価格が上昇しているため、店舗数の増加でどこまで食材の調達コストを抑えられるかは難しい問題です。牛丼チェーンでさえ値上げを余儀なくされる中、いきなり!ステーキも目玉となる値打ち肉の価格は変えずに、国産牛を使ったステーキを提供するなどしていますが、客単価は上がる傾向にあります」
極端に客単価を上げれば客数が落ち、回転率も徐々に落ちてくる可能性がある。そこで新たな展開として考えられるのが出店場所や立食スタイルの見直しだ。
「今年は地方エリアや商業施設、フードコートなどへの出店も検討されているようですが、座って食べられる店舗もつくることで、サイドメニューやお酒の注文で収益力を確保することができます。既存店舗にも一部BOX席を用意するなどの戦略が必要になってくるかもしれません」(中村氏)
ショッピングセンター内のフードコートは祖業の「ペッパーランチ」で多くの実績があり、いきなり!ステーキもすでに越谷レイクタウン(埼玉)に出店を果たしている。
だが、同レイクタウンには「すしざんまい」(つきじ喜代村)が新たにチャレンジする肉業態、その名も「肉ざんまい」が昨年12月にオープン。石焼カットステーキ300グラムを1180円で提供するなど、激しい“ステーキ戦争”が繰り広げられている。
肉の産地や部位、価格もさまざまなステーキ。高まり続ける消費者の需要を満たすべく、専門チェーンの顧客争奪戦はまだまだ続きそうだ。