国内

安倍首相中東訪問 外務省は時期悪いと指摘も首相の反応は逆

 安倍晋三首相は、1月17日~21日にかけて中東歴訪を行なったが、出発前の1月7日にフランスで週刊紙銃撃テロ事件が起きると、外務省内から今回の首相の中東訪問は「タイミングが悪い」という声が上がった。

 ところが、安倍首相の反応は逆だった。官邸関係者がこんな重大証言をした。

「総理は『フランスのテロ事件でイスラム国がクローズアップされている時に、ちょうど中東に行けるのだからオレはツイている』とうれしそうに語っていた。『世界が安倍を頼りにしているということじゃないか』ともいっていた」

 周囲はその言葉を聞いてさすがに異様に感じたという。関係者が続ける。

「総理は総額25億ドル(約3000億円)の中東支援についても、『日本にとってはたいしたカネではないが、中東諸国にはたいへんな金額だ。今回の訪問はどの国でもありがたがられるだろう』と自信満々で、常人の感覚とは違うなと感じた」

 テロは対岸の火事で、自国民の人質には一顧だにしないのが「積極平和外交」の実態だったのか。

 そして現地で情勢は一転する。1月20日に日本人2人の殺害予告ビデオ公開を受けてイスラエルで記者会見に臨んだ安倍首相の顔からはすっかり自信が消えていた。

 会見ではプロンプターの文字を必死に追って話すのが精一杯で、外国メディア記者からの「日本の過去の身代金支払いが原因ではないか」という質問には一言も答えなかった。

 安倍首相は「テロとの戦い」をことさら強調し、フランスのテロ事件を「ツイている」と喜びながら、米国のケリー国務長官をはじめ、英、独の首相はじめ40か国以上の首脳が集まった追悼式典(1月13日)には無視を決め込んだ。日程的余裕があったにもかかわらず、山梨の別荘で休暇を過ごしながら祖父と父の墓参りで「衆院選勝利」を報告し、式典に駐仏大使を出席させただけだった。

 フランスで起きたテロは外交パフォーマンスに都合のいい対岸の火事と捉え、まさか日本が標的になるという洞察も備えもなかったことがわかる。

※週刊ポスト2015年2月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紀子さま(9月24日撮影、EPA=時事)
【宮内庁騒然】紀子さまが「美智子さまを“皇后”」「ベトナム訪問を“旅行”」と表現されて
NEWSポストセブン
落合博満氏と渡邉恒雄氏の「約束」とは(時事通信フォト)
【待望論】巨人・原監督辞任なら落合博満監督の誕生はあり得るのか 退団時の渡邉オーナーとの約束
NEWSポストセブン
木村拓哉
【全文公開】木村拓哉、「事務所を立て直す」の強い思いで積極的に“全方位外交” 因縁を越えてDA PUMPのライブも訪問
女性セブン
復帰となるか
「最新手術」「二刀流継続」「新チームへの移籍」大谷翔平の“選手生命を左右する3つの賭け”
女性セブン
ジャニーズ事務所
大野智が描いた「ジャニー氏の肖像画」はもう1枚あった? 宮古島のバーに飾られた“ダークな男性の顔の絵”
女性セブン
退職届の提出が報じられた木村玉治郎(時事通信フォト)
三役格行司・木村玉治郎の退職届騒動のウラ側にあるのは「約9年ぶりの『木村庄之助』誕生と年功序列人事の弊害」か
NEWSポストセブン
10月には32才となる眞子さんと、小室氏
小室圭さん、セレブ人脈を期待され重要任務に引っぱりだこ 「表舞台から離れたい」眞子さんの希望は遠のくばかり
女性セブン
降谷建司
《MEGUMIと離婚へ》降谷建志は「モンスト」ガチ勢、不倫相手・A子さんも「真っ赤なプロTシャツ」 2人は「ストライカー仲間」だった
NEWSポストセブン
羽生結弦(AFP=時事)と末延さん
羽生結弦結婚で「地元の人達は知っていた」相手の素性がなかなか広がらなかった理由
NEWSポストセブン
フィリピン・マニラ首都圏にある入国管理局「ビクタン収容所」入り口の検査場。特殊詐欺グループから発展した広域強盗事件の指示役は収容所のなかから指示を出していたと言われている(時事通信フォト)
特殊詐欺グループの拠点「ハコ」事情 駅近、住宅街、非築浅マンション4~9階が選ばれる傾向
NEWSポストセブン
不倫相手ら“モンスト仲間”との密着写真を撮影していた降谷建志
《密着写真》MEGUMI最愛の息子と不倫相手が一緒に……我慢できなかった夫・降谷建志の“モンスト仲間”パリピ女子との不貞
NEWSポストセブン
羽生と並んで写真に収まる末延さん(写真はSNSより)
羽生結弦に飛び交う「もう別居」情報 元バイオリニストの妻は仙台とは別の場所に拠点、同居にこだわらぬスタイルか
女性セブン