ビジネス

スカイマーク再生シナリオの行方 鍵握るエアバスはどう動く

経営破綻のスカイマークは復活できるのか

 深刻な経営危機が叫ばれていた航空会社のスカイマークが、自力での“再起”を諦め、ついに力尽きた――。

 負債総額710億8800万円の経営破綻。「燃料代や従業員の給料を支払うのも厳しいほど運転資金が底をついていた」(業界関係者)というから、破綻に至る窮状ぶりは想像を絶するものだった。

 1月28日、民事再生法の適用が受理されたことで、当面は支援を名乗り出た投資ファンド(インテグラル)から融資を受けながら運航を続け、再建計画づくりとスポンサー探しをしていくことになる。

 29日に開かれた会見では、拡大路線一辺倒のワンマン経営で破綻の元凶とされた西久保慎一社長が退任したために、有森正和新社長が出席。座席数が多く赤字を垂れ流していたエアバス「A330」の運航をとりやめ、新千歳―中部、神戸―那覇、福岡―茨城など12路線24便の運休や、石垣空港・宮古空港からの撤退意思などが矢継ぎ早に発表された。

 こうした苦肉の縮小均衡策に一定の評価を下すのは、航空経営研究所所長の赤井奉久氏だ。

「過去の清算を抱えている間は絶対に再建できません。リースとはいえA330を処理するのにも莫大なお金がかかるでしょう。でも、逆にいえばコスト効率の高い小型機(ボーイング737―800)に絞り込み、5路線すべてが儲かる羽田を中心に勝負をすれば、規模は小さくても高収益企業に戻れる。かつてはそんな体質で営業利益を150億円も稼ぎ出していたわけですから」

 ただ、過去の清算はA330だけではない。超大型機「A380」の購入契約“ドタキャン”で、エアバスから最大7億ドル(約840億円)にものぼる違約金を求められている「爆弾」を抱えたままだからだ。

 昨年末、エアバスは英国商事裁判所に訴訟準備の開始を通知したとの報道も出たが、「違約金の額が巨額になればなるほどスカイマークの負債総額が膨らみ、スポンサーが現れずに破綻どころか“破産”する最悪の事態もありえる」(前出・赤井氏)という。

 スカイマークが生きるか死ぬかは、大口債権者であるエアバスとリース会社のサジ加減ひとつといっても過言ではない。果たしてエアバス側の心中はどうなのか。航空業界関係者はこんな見方をする。

「エアバスとしてはスカイマークが購入を断念したA380を“質”に入れて、日本の大手航空会社にセールスをかける絶好の機会。JALは最新鋭の『A350』の納入をはじめエアバスとは近い関係にあるが、ANAにはほとんど食い込めていない。

 ANAはスカイマークを手中に収めて羽田枠を奪取したいため、エアバスが違約金をまけてくれれば大手を振ってスポンサーに名乗り出るはず。エアバスとANA両社の思惑は重なり合っている」

関連記事

トピックス

学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン
松嶋菜々子と反町隆史
《“夫婦仲がいい”と周囲にのろける》松嶋菜々子と反町隆史、化粧品が売れに売れてCM再共演「円満の秘訣は距離感」 結婚24年で起きた変化
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン