ここは邦人がテロリストに拘束されたとき、日本は何ができて何ができないのかを整理して、真正面からきちんと議論すべきである。必要なら、そのための法整備を視野に入れるべきだ。
議論すれば、いまの日本は事実上、何もできない国という現実がはっきりする。身代金支払いは菅義偉官房長官が会見で述べたように論外だった。かといって不払いを最初から明言すれば、人質解放は直ちに絶望的になったろう。
結論を言えば、私は「ひきこもり作戦」に反対である。そうではなく、毅然としてテロに立ち向かう姿勢が重要だ。たとえば自衛隊員を海外派遣し、日本大使館や現地の日本人学校を守るくらいは考えるべきではないか。
今回はたまたまヨルダンが巻き込まれたために、日本の選択肢は深く問われなかった。だが、次は違う。日本はどうテロリストに立ち向かうのか、しっかり対応策を考えておかねばならない。
きれいごとでなく、本音の回答を次の日本を背負う若い世代に聞いてみたい。危機に直面するのは彼らなのだ。
■文/長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ):東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。規制改革会議委員。近著に『2020年 新聞は生き残れるか』(講談社)
※週刊ポスト2015年2月20日号