なぜ今、懐かしい金属製の使い捨てないカイロが注目を集めているのだろうか。編集者、雑誌記者でトレンド情報に詳しい家電ジャーナリスト・奈良巧さんはこう分析する。

「昔使っていた人が懐かしくなって使い始めたのが3年ほど前から。2012年、読者が60才以上の高齢者である雑誌『サライ』のサライ大賞で、『ハクキンカイロ』は『読者特別賞』を取っています。というのは、高齢の人たちが昔、使い捨てカイロ以前に使っていたものをもう一回見直してみたわけです。それは、エネルギー事情が悪くなってきて、簡単で身近で暖かい暖房器具を使い捨てではないものに目がいっている世の中全体の流れがあると思います」

 震災の影響もあると、奈良さんは続ける。

「電熱器よりは石油ストーブみたいな流れもあるし、電気をじゃんじゃん使って暖まるのではなくて、これはどのくらい環境に負荷があるのか、世の中にムダはないのかとみんなが考えながら、冷房も暖房もやっている時代だと思います。夏場に扇風機が売れているのと、冬場にハクキンカイロが売れているのは、意識が近いですよね」

 若者にまで受けている理由は、上の世代がオイル式カイロを使っているのを横目に見ていた下の世代が、実際に手を出し、その良さに気づき始めたことだという。

「燃料のベンジンは、Zippoのオイルと同じですが、高齢の人にとっては昔懐かしいベンジンの匂いもするし、ノスタルジックな品として再注目し始めた後に、若い人たちにとってはなじみのあるZippoのオイルも使えると。一回オイルを入れれば長時間、使い捨てカイロの比ではなく暖かいので、これが一個あるとお金もかからない。繰り返し使えるものとして、エネルギーを大事にする時代に注目されてきている。使い捨てカイロしか知らない世代が、“これって結構あったかいしエコだね”と注目して層が広がりつつある現状だと思います」

 4月の花冷えまで使えるというこのカイロ。立春も過ぎたとはいえ、朝晩はまだまだ寒い日は続いている。夜は湯たんぽ代わりに、また、屋外作業や冷え性対策に気軽に使うといいかもしれない。

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