ビジネス

昔懐かしい金属製オイル式カイロ 「燃費性能」で若者に人気

長時間温かくてエコだと人気が再燃。懐かしの金属製オイル式カイロ

 高齢者にとって懐かしのアイテム、金属製のオイル式“使い捨てないカイロ”が今、若者の間でブームだ。もともとは昔からの愛好家を筆頭に、バイクに乗る人や登山、釣りなどアウトドアをする人たちに好まれて使われていたが、ここへきて人気が再燃している。

 その理由は、まず、使い捨てカイロの約13倍の熱量があり、暖かさが格段に違うこと。しかも最大約24時間の保温も可能であること。繰り返し使えるためゴミが出ないこと。使用経験のある40、50代~90代の人たちにとっては懐かしいアイテムだが、1978年に発売された使い捨てカイロ世代の若者にとっては、珍しく新鮮に映っているようだ。ネットでは、

「くり返し何回も使えるカイロ最強!!ポケットに入れておくだけで部屋の暖房がいらない」
「幸せ度高い」
「ハクキンカイロがなかったら死んでた」

 といった声があがっており、厳しい寒さが落ち着いた今でも購入する人が続いている。この使い捨てないカイロの「愛好の会」なるものまで存在しているというのだ。

 金属製のカイロとして代表的なのは、大正12年の発売以来、ロングセラーとなっている『ハクキンカイロ』。使い方は、燃料を入れ、着火部の火口にマッチやライターの火を約3秒近づける。後は蓋をするだけ。火口はガラス繊維と白金でできており、気化したベンジンが白金を触媒に酸化作用で熱を出し続ける仕組みだ。

 92年前に誕生した元祖『ハクキンカイロ』の後発として、2000年頃からライターでおなじみのZippoをはじめ、各社がそれぞれ販売しているが、最近の人気再燃の影響もあり、店舗では品薄になっているところも多いという。

 ハクキンカイロ社の的場恒夫社長によると、環境への意識が高くなった2001年頃から人気が復活し、さらに5年ほど前から年々5%~10%ごとに緩やかに右肩上がりで推移。特に若者の利用者が増えているという。

「昔から長く愛用されている方と、そこへ新しく若い方が増えています。使い捨てしかご存じないですから、非常に新しく感じるようです。東急ハンズさんやロフトさんでも売り切れているそうです。『ハクキンカイロ』はプラチナ触媒反応で遠赤外線が出て、芯から温まります。使い捨てに比べて暖かさが断然違いますから、一時、使い捨てカイロに移った方も、やっぱりハクキンカイロがいいと戻ってこられる。

 使い捨ては燃えないですから公害になりますが、ゴミにならないエコカイロで、何回も使えて経済的です。パワーがありますから零下でも北極、南極でも使えます。特に環境への意識が高い海外からの人気がより高く、ドイツ、フランス、北欧など、50年ほど前から海外からの注文も増えています。今現在の比率はだいたい日本4.5:海外5.5ほどです」(的場社長)

 Zippoブランドを取り扱い、10年ほど前からカイロの製造販売を始めたマルカイコーポレーションでも、口コミで利用者が増えつつあるという。

「広告宣伝をせずに、ライターのお客さまから口コミでじわじわと浸透していきまして、4年ほど前がピークでした。使い捨ては便利ですが、より温かく、長時間発熱することで体の芯から暖まるので、冷え性の女性にも人気ですし、昔『ハクキンカイロ』を使われていたおばあさんへお孫さんがプレゼントされたり、元々Zippoブランドが好きな方、アウトドア好きな方など幅広く購入されています」(営業第一課担当者)

 ただし、Zippoブランドとしては、日本製とアメリカ製の二本柱で分かれて製造しているが、現在、日本製は製造元の都合により昨年春から休止中。再販のメドはたっていないという。

 また、軽くて強いアルミニウム製の『ポケットウォーマー』を販売している川崎精機の加藤哲郎社長はこう語る。

「私どもは後発で8年ほど前から始めまして、3、4年前によく出ました。省エネの影響が大きいと思います。山登りやゴルフなどアウトドア関連のスポーツをしている人には安定して人気ですし、オイルは今コンビニでも手軽に買えることもあり、上向いていると思います。充電式は40~50度ほどなのに対し、オイル式カイロは最大60度までいくのが最大の長所。“オイルを消費するので使い捨てとコストは変わらない”とよく言われますが、実際には3時間分入れたら6時間、12時間分入れたら24時間もち、1.5倍~2倍の時間もつので燃費はいいですよ」(加藤社長)

関連キーワード

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
焼損遺体遺棄を受けて、栃木県警の捜査一課が捜査を進めている
「両手には結束バンド、顔には粘着テープが……」「電波も届かない山奥」栃木県・全身焼損死体遺棄 第一発見者は「マネキンのようなものが燃えている」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン