今期はアベノミクスによる円安の恩恵を受けた輸出企業を中心に業績の大幅な伸びが予想される。上場企業の昨年12月までの業績では、経常利益が前期比約7%増えている。このペースのまま決算を迎えれば日本企業全体の経常利益は約77兆円となる。にもかかわらず、税収見込みは約18兆円にとどまり、企業が本来納めるべき税額と税収との差額は10兆円に迫る。
その10兆円はどこに消えたのか。民主党きっての「税制のプロ」として知られ、2010年に政界を引退した峰崎直樹・元財務副大臣は、消えた税収は企業が法人税の免税特権を使って利益として貯め込んでいると指摘する。
「日本の法人税には数多くの税制上の“特典”があり、その中でもとくに不公平で不透明なのが租税特別措置(租特)と呼ばれる特例です。法人税は本来、企業の利益に公平に課税することで税収をあげ、社会保障や教育など国として必要な政策の財源に充てるのだが、この租税特別措置は儲かっている企業の税を減免することでさらに儲けさせる仕組みになっている。企業はこの特例をうまく利用することで法人税の納付額を大きく引き下げることができるのです」
※週刊ポスト2015年3月6日号