国内

日本の「本当の法人税率」平均約25%で韓国や英国並みだった

 さる2月17日、政府は法人税率を2年間で3.29%引き下げる税制改正法案を国会に提出した。国税と地方税を合わせた法人税率は現在の約35%から2016年には約31%まで大幅に引き下げられる。

 日本経団連は「日本の法人税率は国際的に高く、企業の競争力を奪っている」と主張し、競争力を高めるために「15年度に2%以上引き下げることから開始し、3年を目途に20%台、将来的には25%へと引き下げるべきである」(税制改正に関する提言)と政府に要求してきた。今回の法案提出はその要求に応えたものだ。

 本当に日本の法人税率は高いのか。財務省の国際比較によると、日本の法人税率は米国の約41%(カリフォルニア州)より低いが、フランス(約33%)、ドイツ(約30%)、韓国(約24%)、英国(23%)より高く、政府は今回の減税でようやくフランス、ドイツ並みになるとしている。

 しかし、上場企業が直近の有価証券報告書で公表している法人税の負担率を調べると、全く違う数字が明らかになった。

 この年、連結決算で2兆4410億円もの税引前純利益となったトヨタは5年ぶりに法人税を納付したが、実際に負担した税率は22.9%、キヤノンが27.6%、武田薬品工業は18.8%と発表している。法律で定められた税率(当時は復興特別法人税があったため約38%)よりはるかに低い。

 これら3社だけが特別なわけではない。日本では中小企業を中心に7割以上が赤字で法人税を払っていないが、利益をあげて税金を納めている企業だけをとっても、実際の税率は非常に低いのである。

 財務省のデータからそれが裏付けられる。法人企業統計調査によると、2013年度の全企業の税引前純利益の総額は約68兆円にのぼった(標本調査に基づく推計値)。当時の税率38%で計算すると本来なら国と地方合計で約26兆円の税収がなければならないはずだが、実際の法人税収は約17兆円しかなかった。すなわち、日本の「本当の法人税率」は平均約25%で、韓国や英国並みだったということになる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)が犯行の理由としている”メッセージの内容”とはどんなものだったのか──
「『包丁持ってこい、ぶっ殺してやる!』と…」山下市郎容疑者が見せたガールズバー店員・伊藤凛さんへの”激しい憤り“と、“バー出禁事件”「キレて暴れて女の子に暴言」【浜松市2人刺殺】
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ
《熱愛ツーショット》WEST.中間淳太(37)に“激バズダンスお姉さん”が向けた“恋するさわやか笑顔”「ほぼ同棲状態でもファンを気遣い時間差デート」
NEWSポストセブン
アパートで”要注意人物”扱いだった山下市郎容疑者(41)。男が起こした”暴力沙汰”とは──
《オラオラB系服にビッシリ入れ墨 》「『オマエが避けろよ!』と首根っこを…」“トラブルメーカー”だった山下市郎容疑者が起こした“暴力トラブル”【浜松市ガールズバー店員刺殺事件】
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ(右・Instagramより)
《スクープ》“夢の国のジュンタ”に熱愛発覚! WEST.中間淳太(37)が“激バズダンスお姉さん”と育む真剣交際「“第2の故郷”台湾へも旅行」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト