「1992年に桐蔭の組合が発足した際、今回第三者委が問題にした『生徒からの徴収金』がどうなっているか明確にすべきだと学校側に要求しているのです。つまり20年以上前から学内で議論の対象となっていて、当時の校長だったM氏が知らないはずはない」
本誌が入手した1992年1月24日付の組合の「要求書」には確かに〈生徒から徴収した金銭(副教材費、模擬テスト代、各種検定試験代、その他)のバックマージンの使途を明らかにすること〉とある。少なくとも長年労使交渉のテーマだったことは間違いない。
「娘に『入試企画渉外部長兼教育室長』という肩書きや個室を与えていたことも学校経営の私物化の象徴です。組合はM氏の責任を今後も追及していく」(同前)
大産大に今後の対応などを取材したが、回答はなかった。元東京高検検事の弁護士・牧野忠氏はこう語る。
「裏金を私的に流用したのなら業務上横領が成立する可能性が高い。組合だけでなく学校法人がM氏らの刑事責任を追及するための被害届提出や民事訴訟の提起の動きに出ることが考えられます。
また父兄が学校に騙された構図にもなるので、保護者が学校関係者を詐欺罪や業務上横領で告訴したり、学校を相手取る集団訴訟も当然起こり得る。被害者はあくまで模試などのためだと考えてお金を払った保護者ですから」
前校長はKO寸前である。
※週刊ポスト2015年4月17日号