国内

辺野古移設は日本の利権の話 米軍の要請ではなく国防無関係

 普天間飛行場の辺野古移設に関する政府と沖縄県のバトルが過熱している。菅義偉・官房長官は翁長雄志知事に対し、「住宅密集地にある普天間飛行場の危険性除去」のために辺野古移設の同意を迫っている。だが、それでは「なぜ移設先が辺野古なのか」の説明がつかない。県外や国外への移転も検討できるからだ。

 政府が最近、ゴリ押しする理屈は、「日米間の信頼関係が悪化して、外交・防衛上の損害が生じる」というものだ。要は、基地移設が遅れてアメリカが怒ると日本の国防が危うくなるという主張である。自衛隊幹部OBがいう。

「辺野古基地に駐留するのは海兵隊。海兵隊は敵地の海岸へ強行上陸するための部隊で、国土を防衛する目的もなければ、能力もない。国防の喫緊の課題である尖閣諸島など島嶼部防衛にも役に立たない」

 そもそも小泉政権時代に決められた在日米軍の再編合意書には、島嶼部への侵略に対処するのは日本、つまり自衛隊の責任であることが明記されている。尖閣有事に際し、辺野古に米海兵隊がいても出動することはないのだ。“日本の安全を守るため”というお題目は崩れている。

「米軍は海兵隊をグアムに移転させるロードマップを描いていたが、小泉政権時に“沖縄にいてほしい”と辺野古移設を提案した経緯がある。小泉首相は政権幹部が辺野古は環境へのダメージが大きいので止めるべきだと進言すると、“二度とその話をするな”と一喝した。そもそも、辺野古移設は日本側の利権の話であって、米軍側の要請でもなければ、国防とも関係がない」(当時の官邸スタッフ)

 高村正彦・副総裁は、3月27日に訪米するとカーター米国防長官に「国会を延長させ安保法制関連法案を今国会中に成立させる」と大見得を切った。米大使館関係者は唖然とする。

「安倍政権は我が国が喜ぶと思って辺野古も安保法制もTPPも進めているが、そんなことは望んでもいない。よほど4月末の訪米と首脳会談を実現したかったのだろうが、一方的でピント外れのラブコールにオバマ大統領は困惑している」

※週刊ポスト2015年4月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン