ビジネス

すき家 カリスマ社長の改心でブラックのレッテル剥がせるか

ワンオペ解消で全店の深夜営業再開を目指す「すき家」

 深夜の一人勤務「ワンオペ」や、月の労働時間が400時間を超すアルバイト(クルー)の存在など、度を越した過重労働体質が批判を浴びてブラック企業のレッテルを貼られてきた牛丼チェーンの「すき家」(ゼンショーホールディングス傘下)。

 同社は昨年5月より弁護士やジャーナリストなど外部の有識者で構成する第三者委員会を自ら設置。過酷な労働実態の“膿”を公表するとともに、現場の労働環境の改善にあたってきた。

 3月31日に発表された第三者委員会の最後の調査報告によれば、「月間時間外労働100時間以上の社員数」は、昨年3月に55.3%いたものが10月には0%と解消。同じく100時間以上残業したクルー数も、0.4%まで激減した。

 調査委は、それでも60時間以上100時間未満の社員が9%いると指摘、〈(残業時間の改善は)十分であるとは言い難い〉と総括している。

 ゼンショーとしては、これまで本部で労働体制を一括管理していたものを、地域ごとにCOO(最高執行責任者)を置く組織に改編しながら、深夜帯の時給を1300円前後に押し上げるなどして構造的な人手不足を補う戦略をとっている。

 こうした労務改革の成果が、すぐに汚名返上に結び付くのだろうか。人事ジャーナリストの溝上憲文氏がいう。

「従業員の劣悪な労働環境のイメージがついてしまった以上、今は一律に時給を上げなければ安定した人材確保ができない状況にあるといえます。しかし、今後はアルバイトでも勤務年数や能力に基づいて待遇を良くするなど、働いている人たちのモチベーションが高まる仕組みをつくらないと、人は定着しないでしょう」

 当然ながら、人件費がかさんだ分は売り上げでカバーするしかない。ところが、それ以前に、いまだにワンオペを解消するまで深夜営業を休止している店舗が616店(3月末現在)もあることが響き、ゼンショーホールディングスの2014年4~12月決算は上場以来初となる25億円の最終赤字に沈んでしまった。2015年3月期はさらに赤字幅が膨らみ75億円を見込んでいる。

 これまで同社のカリスマ創業者として徹底的に経営効率を図り、パートやアルバイトにも社員と同じような“モーレツさ”を求めてきた小川賢太郎会長兼社長は、いまの逆風をどう捉えているのか。

「経営手法の変革を迫られて赤字に陥ったことは自身が貫いてきたスタイルに反することでもあり屈辱に違いない」と話すのは、外食ジャーナリストの中村芳平氏だ。

「小川さんをはじめ、昔からの幹部にしてみたら24時間働いて家に帰れないのも当然。がむしゃらに働いて抑制した人件費などが安売り牛丼の原資となり企業規模を拡大させてきた歴史がありますからね。そうした意識を一気に変えていくのは容易なことではありません」(中村氏)

関連記事

トピックス

“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
反日的言動の目立つ金民錫氏(時事通信フォト)
韓国政権ナンバー2・金民錫首相の“反日的言動”で日韓の未来志向に影 文在寅政権下には東京五輪ボイコットを提起 反日政策の先導役になる可能性も
週刊ポスト
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン