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吉田類「大人の駄菓子屋さんみたい」自販機居酒屋の魅力語る

自販機居酒屋が飲み屋の新潮流に(居酒屋「立半」)

 牛丼チェーンやファミレスなどの「ちょい飲み」ブームのあおりを受けて5年連続で売り上げが前年を下回る居酒屋業界に、新たな潮流が生まれた。酒やつまみの提供を機械に委ねているのだ。

 横浜市・関内駅から約5分。飲食店が立ち並ぶ繁華街を歩いていると、「焼酎1杯100円」の電子掲示板が目に留まる。時刻は午後6時。まだ外は明るいというのに、居酒屋「立半(たてはん)」の店内は立ち飲みのサラリーマンで満員状態だ。

 客たちは店の一角にひっきりなしにやってくる。そこに置かれているのは、焼酎の自動販売機だ。

 雲海、黒霧島、吹上、くろうま、高千穂、ホッピー用焼酎の6種類があり、客は横に置かれている焼き物のぐい飲みやグラスを選んで自販機にセット。100円玉を入れてお好みの銘柄のボタンを押せば、焼酎(34ml)が出てくる仕組みだ。濃さはポットに入った水で調整し、ホッピーやお茶で割りたい場合は別途購入する。手間といえば手間だが、それも飲み客にとって大きな楽しみになっているようだ。

「会社帰りの方が多く、同僚や部下を連れてくる人もいます。上司の男性が部下の女性に自販機の使い方を教えている時は、ちょっと誇らしげで楽しそうですね」(店主)

 男性客が9割で女性は1割ほどだが、最近では「自販機が面白そうだから」と来店する女性グループも増えているという。

 生ビールやサワーなどは注文すると店員が運んでくる。つまみは、玉子焼き、チーズ揚げ、トマト、漬け物など“ザ・大衆居酒屋”ともいうべき定番メニューが並ぶ。焼酎の自販機コーナーのすぐ隣には、客が自分で焼き鳥を焼くセルフコーナーもあるが、こちらの人影はまばら。

「お客さんに楽しんでもらおうと思って始めたのですが、“焼いて出してくれ”という注文が多くて(笑い)」(店主)

 セルフサービスは、焼酎の自販機くらいがちょうどいいようだ。

 大人気番組『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)のパーソナリティーを務める酒場詩人・吉田類氏によれば、こうした「自販機居酒屋」はすでに飲み屋の新潮流になりつつあるという。

「私自身、自販機のお店には地方も合わせて何軒も行きました。『大人の駄菓子屋さん』みたいなところが魅力で、自分で好きなものを少しずつ買って、その場で楽しむ。お菓子がお酒やおつまみに変わっただけで、とても懐かしい感じがする。ちょい飲みの場所として、これからもっと広がると思います」

撮影■足立百合

※週刊ポスト2015年5月8・15日号

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