「マイナンバーはデータベースにしてしまったとたん、漏洩したり不正利用された場合、もっとも重い罰則が適用されます。マイナンバーをメールで送ることも、USBメモリにコピーすることも厳禁です。漏洩を防ぐため、セキュリティソフトウェアを提供する会社からは、マイナンバーを含むデータ送信を監視する機能が付加されるとアナウンスされました。
マイナンバー対策をしっかりできるということは、セキュリティがしっかりしていることの証明にもなります。いち早く対応を宣言し、業界や市場の評価を高めることを狙う企業も出てくるのではないでしょうか。この機会に、企業のセキュリティ意識が全体的に高まるかもしれないですね」(前出・山上さん)
企業にとってはやらねばならぬことが山積みのマイナンバー制度だが、一市民としては格段に便利に、そして「2年後には世の中が変わると思います」と山上さんは続けた。
「税、健康保険、住民票、車庫証明やパスポートなど様々な情報がマイナンバーひとつで紐づけられるので、様々な申告の手間や時間が短縮されます。最初からすべての情報が結びつくわけではありませんが、連携が進むと目に見えて便利になりますよ。
たとえば、これまでは税務署と市役所は必ず往復するものでしたが、どちらか片方だけで二カ所の用事が済むようになります。また、2017年から『マイナポータル』の運用が始まるとパソコン等からボタンひとつで自分の保険料や税の履歴、どの役所が自分の情報を閲覧しているかなどを確認できます。3年後には預金口座もマイナンバーと関連づけられる予定です」
便利に暮らすためには、それに合った努力が必要だ。日本語が壁となってサイバー攻撃にさらされる確率が低かったのは過去のこと。標的型攻撃の被害に遭う上位国常連となったいま、仕事でもプライベートでも、マイナンバー制度が始まるのをきっかけにセキュリティ意識を高めたい。