近頃話題のギフト用品に、国産の木製ハンガーがある。背面に小さなロゴで「NAKATA HANGER」とある。「NAKATA HANGER AUT-05W」(女性用、4320円)は、1946 年の創業以来、木製ハンガー一筋のハンガー専門メーカー中田工芸のヒット商品だ。
「業務用を中心に、洋服をいかにきれいにかけ、その状態を維持できるかを追求し続けてきました。個人のお客様からのお問い合わせが増えたので、2007年からは個人向けの“NAKATA HANGER”の展開も始めています」
同社の志村浩平さんはそう語る。どんなによい洋服も、乱暴に取り扱うと傷みがひどくなる。クリーニングに出して大切に手入れをしているつもりでも、針金や華奢なプラスチックハンガーにかけたままにしていては、型崩れしてしまうのだ。
「欧米のハンガーは、洋服同様、欧米人の体形に合わせて作られていて、日本人にはやや大きく、肩の部分が飛び出てしまうこともあります。ですが、わが社の商品は、日本人体形に合った洋服を美しくかけられるようデザインし、国内の自社工場で職人が1本1本心を込めて作っています」(前出・志村さん)
吟味されたヨーロッパ産のブナ材を使用し、大まかにカットを施すと、職人がフリーハンドで滑らかなラインに整えていく。そして、木の雰囲気を生かし、表情を創り上げる艶やかで色ムラのない塗装から組み立て、検品まで、すべてが手作業によるものだ。
“AUT-05”は、Authentic(本物の、信ずべきの意)シリーズのジャケットハンガー。肩から肩先にかけての湾曲、肩先と首の後ろの丸みなど、人の骨格に近いアール(註:曲線)を再現したタイプで、重いコートをかけても、肩や襟元がズレで型崩れすることがない。かっちり仕立てのジャケットはもちろん、薄手のドレスやTシャツも、このハンガーにかければ、高級服に見えてくるから不思議だ。
「ハンガーは、“ふく”をかけるもの。洋服と幸福がかかり、贈り物としても人気です」
※女性セブン2015年5月28日号