当時、韓米合同委員会の韓国側幹事を務めていたギム・ギジョ氏は市民団体「太陽の光社会福祉会」の会報で次のように証言している。

「当時、米軍司令官だったベスト大佐は、米兵の休息とレクリエーションのために基地村の品質向上を要求した。米軍の継続的な駐留を望む青瓦台(大統領府)は1億ウォンの予算を投じ、議政府や東豆川、安亭里などの基地村で浄化事業を開始した。米軍の主張をほぼそのまま受け入れた形だ」

 こうして始まったのが、基地村で働く女性たちの性感染症管理を主目的とする「基地村浄化対策」事業である。

 韓国政府は直ちに動き出し、嫌疑のある女性を片っ端から保健所に連行した。検査で陽性が出た場合、女性は収容所に監禁されペニシリンによる治療が施されたが、その際、ペニシリンの過剰投与によるアナフィラキシーショックで死亡する者もいたという。

 元米軍慰安婦・金ジョンジャさんは、韓国紙『ハンギョレ』の取材に、「基地村の女性は収容所を“丘の上の白い家”と呼んでいました。(部屋の)窓には鉄格子がはまっていて、まるで刑務所のようでした」と収容所の様子を明かしている。

 なお、基地村浄化対策への韓国政府の関与は、韓国民主党の兪承希議員が2013年1.1月に公開した朴正煕大統領の直筆署名入り公文書により決定づけられているが、この動かぬ証拠を突きつけられても、韓国政府は固く口を閉ざしたままだ。

 兪議員は公文書を2012年の時点で入手、国会への提出を予定していたが、大統領選を控えた朴槿恵大統領のハンナラ党(現セヌリ党)から、「提出を見送るよう強く要請された」ことも明らかにしている。

※SAPIO2015年6月号

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