国内

老人ホームのセラピードッグ 「心のオアシスに」の夢を抱く

特別養護老人ホーム 第三南陽園のセラピードッグ「くろ太郎」

 雑木林に囲まれた『社会福祉法人・浴風会』。その一角に、くろ太郎が働く特別養護老人ホーム『第三南陽園』がある。

「もともとぼくは飼い主がいない犬でした。ある専門学校のペットビジネス科にお世話になって、その後ここに来たんです」

 くろ太郎が、チワワのピーターと一緒に、老人ホームで過ごす人たちの心や体のリハビリを目的とした“セラピードッグ”として第三南陽園にやって来たのは、平成19年秋のこと。

「最初はなにがなんだかわからなくて、けっこう吠えちゃいました。そしたら園長さんが『落ち着くまで園長室で過ごしたらいいよ』って」

 今では園の2階ホールがくろ太郎の居場所。犬小屋の前を通るおじいちゃん、おばあちゃんが、「くろ、元気か?」と声をかけると尻尾をふって応える。

「みなさんに愛されてすごく幸せ。でも、ときにはつらいこともあるんだよね…」

 そう、くろ太郎にはこの仕事だからこそのつらさがある。大好きだったかたが数年前に亡くなってしまったのだ。仕方のないこととはいえ、彼が立ち直るまでしばらく時間がかかったという。

「だけど、悲しい別れがあれば新しい出会いもあるんだ!」

 現在はWさんがくろ太郎の“最愛の人”。「懐かれすぎて困るよ」とWさんは言うが、その表情はとても嬉しそうだ。そこにいるだけで、くろ太郎の癒しパワーが利用者の皆さんを幸せな気持ちへ導いているのである。

<くろ太郎のプロフィール>
名前:くろ太郎
年齢:10才(推定)
種類:犬(ミニチュアダックスフント)
勤務先:特別養護老人ホーム 第三南陽園
職種:セラピードッグ
主な仕事内容:利用者さまの心と体を健やかに保つお手伝い。
お給料: 1日に5~6回のお散歩。ときどきもらえるオヤツ。
好きなこと: お散歩
嫌いなこと:誰も顔を見に来てくれない時間。
現在の悩み:ときどきうっかり吠えちゃうこと。
将来の夢:おじいちゃん、おばあちゃんたちの心のオアシスになる!

※女性セブン2015年6月11日

関連キーワード

関連記事

トピックス

筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
日曜劇場『キャスター』で主演を務める俳優の阿部寛
阿部寛、小泉今日子、中井貴一、内野聖陽…今春ドラマで「アラ還の主演俳優がそろい踏み」のなぜ?
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン