国内

ホステスが枕営業判決に違和感 「会話で喜ばせるのが仕事」

 世間を驚かせた、銀座クラブママ“枕営業”判決。7年以上にわたって会社経営者の男性と不貞行為を続けた銀座のクラブのママに、男性の妻が慰謝料400万円の支払いを求めて起こしたところ、ママが男性と肉体関係を結んでいたのは優良顧客を確保して店の売り上げに貢献するための営業活動で、不倫でもなければ不貞行為でもなく、夫婦関係を乱すものでもなかったと判断されたのだ。

 さらに、今回の判決文にはこんな文言もあり、世の女性だけでなく、現役のホステスやクラブ関係者にも大きな衝撃を与えている。

《クラブのママやホステスが、自分を目当てとして定期的にクラブに通ってくれる優良顧客や、クラブが義務付けている同伴出勤に付き合ってくれる顧客を確保するために、様々な営業活動を行っており、その中には、顧客の明示的又は黙示的な要求に応じるなどして、当該顧客と性交渉をする「枕営業」と呼ばれる営業活動を行う者も少なからずいることは公知の事実である》

 憤りを露わにするのは銀座のクラブの現役ホステス(31才)だ。

「ホステスは肉体でなく会話でお客様を喜ばせるのが仕事です。私たちはどんなお客様にも満足して帰ってもらえるよう、常に新聞を読んだり、ニュースを見て勉強しています。相手の話にただうなずくだけでなく、きちんとコミュニケーションを取って会話を弾ませるのはとても難しいこと。それなのに、まるで枕営業が当たり前かのように…。今回の件はホステスの地位を貶められたようで残念です」

 六本木のホステス(26才)は“同僚”に怒りの矛先を向ける。

「面と向かって話を聞いたりはしませんが、枕営業をしているホステスがいるのは事実です。でも、女がひとりで生きていくには美容や教養など大変な努力が必要で、枕営業だけしていればお客さんに来てもらえるような甘い世界じゃない。一部の人のせいで、私たちが売春婦のように見られるのは納得いきません。それに、多くの男性は一度寝ると目的を達成したからか、そのホステスを安く見るようになり、店に来なくなります。ところが今回の場合7年も関係が続くなんて、単なる営業活動ではないでしょう」

 一方で、ママに対しての辛辣な意見もある。今回の裁判では、ママは一貫して男性との肉体関係を否定していたが、銀座のママ(38才)がこう訝しむ。

「本当のところはわからないけど、もし肉体関係を持って恋愛関係だったのに“不倫にされず、慰謝料も払わなくてラッキー”とか思っているんだったら、最低ですよね。こんな裁判になるようなことをするから私たちが誤解されるんです。私たちはお客様の奥さまにも気を使っていますよ。もっとホステスはプライドを持っているべきなのよ」

 枕営業が恒常的に存在していると認めたような今回の判決で、店側が迷惑を被ることも考えられる。フラクタル法律事務所の田村勇人弁護士が言う。

「客の中には“おれはこんなに店に通ってお金を使っているんだから、やらせろよ”と肉体関係を迫る人も出てくると思います。判決には《クラブの料金には性的関係の対価が間接的に含まれている》という趣旨のことも含まれていますからね。すると逆に“おれは肉体関係は望んでいないんだから、料金をもっと安くしろよ”と言い出す人がいるかもしれません」

※女性セブン2015年6月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン