「発売から6、7年経った頃、競合他社が類似商品を低価格で出し始め、その影響もあって売り上げの減少が続きました。そろそろ潮時かなと」
依田氏の頭の中にはすでに次の新商品が浮かんでいた。
「ただ、止めるにしても課題を克服してからと思い、改善策に着手したのです」
カバー生地が汗などに触れるとヘタってしまう課題が指摘されていた。そこで、東レが開発した水着用素材を採用し耐久性を高めた改良版を世に送り出した。
その直後だった、「人をダメにする」というフレーズが、一気に拡散してブレイクした。
「私たちが付けたネーミングではないんです。使った方がいわば勝手に名付けてくださった上に、ソファでリラックスしているイラストと共にウェブにアップされたようです。
それが拡散し、評判が評判を呼び、おかげさまで昨年は注文が倍近くに伸びました。発売から十年以上経った段階で、また後押しをいただいた。実に幸せな商品です」
再ブレイク時の購入者は「20代の男性」が一番多かった。SNSの情報に敏感に反応し、ソファに座って長時間ゲームやネットを楽しむユーザー像が浮かび上がる。
「そのまま朝まで寝てしまう人も多いのかもしれません」
※SAPIO2015年7月号