スポーツ

約20台を乗り換えてきた競輪選手が選んだ普通乗り自転車とは

競輪・深谷和広選手が愛用する「エボルバー」

 その道の達人たちはプライベートでどんなツールを選んでいるのだろうか──自転車ブームが盛り上がっているが、どうせお金をかけるなら「本当にいいもの」を手に入れたい。ならば、仕事で常に自転車にまたがるトッププロに教えを請うのが一番だ。競輪選手の深谷知広が、愛用している『エボルバー』の魅力を語る。

 * * *
 このロードバイクは、先輩レーサーの幼馴染みが剛性(曲げやねじりの力に対する変形しにくさの度合い)の強いフレームを作っていると聞いて4年前に注文し、それからずっと乗っているものです。

 この自転車に出会うまでに20台くらい乗り換えてきました。どのフレームもしっくりこなくて、中には100m走っただけで気に入らなくて売ってしまったものもありました。選手の間でも「深谷はすぐ乗り換える」ってからかわれていたくらいです(笑い)。

 普段使うロードバイクは練習用も兼ねているのですが、フレームが弱いとダッシュの練習で思い切り踏み込んだ時にたわんでしまうんです。そうすると脚力がダイレクトに路面に伝わらないし、ひどい時はチェーンラインがずれて外れてしまうこともあります。

 その点、「エボルバー」はダイヤモンド形状の堅いフレームに特殊なカーボンを巻いているので、プロの選手が思いっきり踏み込んでもたわまない。軽量のロードバイクは壊れやすくて、何かにぶつけたり転んだりするとフレームが曲がってしまったり、折れたりすることもあるのですが、そんな心配もありません。

 フレームだけではなく、ステム(ハンドルとフレームをつなぐ部品)なども剛性が高く、安心して全力で踏み込めます。タイヤもレースで使うカンパニョーロというブランドの剛性が高いホイールを入れていて、そうした部品も合わせるとこのロードバイクには約120万円かかっています。

 塗装は耐久性の高い塗料を使い、エボルバーのショップが持っている特別なルートを通じてBMWがペイントしています。フラットブラックとフェラーリの赤を使用したオリジナルペイントの仕上がりには非常に満足しています。

【プロフィール】深谷知広(ふかや・ともひろ):1990年愛知県生まれ。2008年日本競輪学校入学。デビューから56日で史上最速のS級昇格を果たし、平成生まれ初のS級選手となる。2011年の高松宮記念杯競輪でG1レース初優勝。優勝26回、通算獲得賞金は4億5000万円。  

撮影■小笠原亜人矛

※週刊ポスト2015年6月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン