販売元の横澤さんはもともと、仙台でダックスフントのブリーダーだった方ですが、東日本大震災で飼っていた犬がすべて津波に流されてしまいました。震災後は「またダックスフントを飼うのは辛い」といって、リードを販売するビジネスを始めたんです。元ブリーダーで、ショーで栄えるポイントもわかっているから、色々と私の意見を汲み取ってくれたのが嬉しかった。
ショーにおいてリードは犬をより美しく見せるためのものですが、日常生活では犬を守る「命綱」となります。散歩の時、自転車が通りかかって犬がパニックを起こし、車道に飛び出して車に轢かれる、といった事故は珍しくありません。
飼い主に向けた講習会も定期的に開催していますが、リードの装着方法などには注意が必要です。首元をしっかりと絞めてしまうと犬が苦しくなってしまうので、少し顎寄りの位置にリードを固定してください。
一歩でも外へ出る場合は、たとえ抱っこしていてもリードは外さず、紐は肩にかけておきましょう。持ち手は必ずしっかり握るか、手首に通しておく。そうしておけば、急に犬が飛び出しても抑えることができます。リードはまさに犬と飼い主をつなぐ絆なのです。
【プロフィール】坂本泰子(さかもと・たえこ):1956年神奈川県生まれ。チワワのブリーダー歴30年。ジャパンケネルクラブでは過去13年で20頭以上のチャンピオン犬を作出した繁殖者を「優良犬作出ブリーダー」と認定しているが、坂本氏は123頭を記録し表彰された。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2015年6月26日号