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中国「股間に手りゅう弾隠し攻撃」の反日劇 通信社もキレた

 爆買い、爆買いと聞くと、中国人の対日感情も変化しているのかと思いたくなるが、そうではないようだ。中国の情勢に詳しい拓殖大学教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 習近平政権下の外交戦略の見直しによって日中間には宥和のムードが広がり始めた。だが中国の変化は日本人が受け止めるようなものではない。爆買いに来るからといって歴史問題を含めた日本のすべてを肯定するということではないからだ。

 中国人の心のなかには「過去の日本」と「いまの日本」という肯定と否定が並立している。どちらかの感情を入れ替え全肯定と全否定を繰り返す日本人とはそこが明らかに違い、互いに誤解する点でもある。

 これは国内の問題にもいえることで、例えば都会人と田舎の人々では明らかに対日感情は異なる。その意味でもいま、対日宥和のムードが広がっているのは都会の一定以上の生活をしている人々で、いまだ田舎では反日が基本である。

 それはエンターテイメントの世界に如実に表れている。

 そんななか6月16日には新華ネット上に新華社が批判した反日映画・ドラマに関する記事を掲載して話題となった。タイトルは〈総局(中国電波映画テレビ総局)が取り調べ 女性の股間に手りゅう弾を隠して攻撃する反日劇 新華社が連続して3つの文書を発して批判〉である。

 中身はタイトルの通りで、トンデモ映画や劇、ドラマが量産され続けられている“反日もの”に、ついに女性器のなかに手りゅう弾を入れて攻撃するとの内容のものが登場し、国営通信社がキレたというわけだ。

 その言葉がまた激烈で「人としての倫理にも史実にも符合せず、ただ公共の理性に挑戦する」作品だというのだ。

 こうしたくだらない作品については拙著『中国人は日本が怖い! 「反日」の潜在意識』(飛鳥新社刊)に詳しく書いたが、武術の達人が日本兵を素手で真っ二つに割いてしまうなど、本当にとんでもない。むしろ逆にカルト的な人気を呼ぶのではと思えるほど思い切っていてバカバカしいのだが、こうしテイストはいまだ健在ということなのだろう。

 この記事で思い出すのは、4月15日に中国吉林ネットが掲載した『法政晩報』の記事である。これもタイトルだけ見れば十分という記事なので、それを紹介したい。曰く、〈日本鬼子役を演じた端役の役者は4年間で6000回死んだ〉

 ご苦労様!

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