「閉鎖循環下抗ガン剤灌流療法は、骨盤内に入る血流と出ていく血流を一時遮断して、骨盤内だけで血液が循環するような状態にしてから、高濃度の抗ガン剤を流す治療です。進行して手術ができない症例や再発などに対して治療を行なっています」(村田准教授)
脚の動脈からカテーテルを入れ、腹部大動脈と下大(かだい)静脈の中でバルーンを膨らませ、骨盤内の臓器への血流を遮断する。同時に太ももをベルトで締めて、下肢に向かう血流も遮断する。そこに高濃度の抗ガン剤を動脈から流し、ポンプで鼠径(そけい)部の静脈に通した左右2本ずつの管から吸引して、再び動脈に戻す。
これで抗ガン剤が骨盤内を灌流し、がんを攻撃することができる。流す時間は約30分で、処置後は血液透析で抗ガン剤を完全にろ過する。
この他、膵がんや肝がんでも臓器への血流を遮断し、同様の治療を行なっている。副作用が少なく、高い有効性が確認されている。現在は自費診療のため、先進医療への申請を準備中だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2015年7月10日号