ライフ

進行がんにも効果発揮する 患者の負担減の「IVR治療」とは

 病気の診断として、X線や超音波、CTやMRIなどの画像診断が行なわれている。これらの機器を使い、リアルタイムで体内を見ながら、カテーテルなどを挿入し、治療を行なうのがIVR(画像下治療)だ。狭窄(きょうさく)や閉塞した血管や胆管、気管の拡張や閉塞性動脈硬化症に対するステント留置などが行なわれている。傷口が小さく、患者の負担が少ない治療だ。近年IVRが、がん治療にも応用され、効果をあげている。

 日本医科大学付属病院放射線科IVRセンターの村田智准教授に話を聞いた。

「IVRのがん治療で、一般的に行なわれているのが、肝がんに対する肝動脈化学塞栓(そくせん)術です。脚の付け根の動脈からカテーテルを入れ、肝臓内のがんの近くまで持っていき、がん細胞に栄養を運ぶ血管に抗ガン剤を注入し、腫瘍が栄養とする血管を医療用ゼラチンで塞栓する治療です。塞栓することで、血管内の抗ガン剤の濃度が高くなり、がん細胞を攻撃することができるようになります」

 抗ガン剤が、がん細胞に正確に届いているかをチェックするために、血管内に造影剤を注入し、その流れをX線で撮影する血管造影とCTを合体させたアンギオCTシステムを利用する。がんを特異的に攻撃できるので、治療成績がよく、合併症が少ないのが特徴だ。

 この施設では、骨盤内の臓器に発生する進行した膀胱がん、直腸がん、子宮がんなどを対象に全国で唯一、閉鎖循環下抗ガン剤灌流療法を実施している。高濃度の抗ガン剤をがん細胞内で灌流させることで、がんを死滅させる治療だ。高濃度の抗ガン剤を直接がんに流す方法としては、以前から動注(どうちゅう)化学療法があった。

 しかし、抗ガン剤が一時的にがんに流れても、やがて全身を巡る。これでは正常細胞までも影響を受け、副作用の危険性があり、あまり実施されなくなっている。

関連キーワード

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン