重要なのは、ブラック企業の徹底排除を目指し、いかに持続的な取り締まり強化ができるかだろう。溝上氏はこんな懸念を口にする。
「かつて、監督官は夜遅くにビルの窓から明かりが漏れている企業をシラミつぶしに内偵して恐れられていましたが、最近は相談件数も膨大なうえに、大きな企業では立ち入りしても巧みに証拠隠滅を図るなど、少ない監督官ではとても手が回らない状況です」
厚労省は監督官を増やすよう国に提言はしているものの、人件費の大幅アップにつながりかねず、思い切った増員政策は取られていない。
労働組合やNPO、対策弁護団など“駆け込み寺”が増えたいま、なによりも労働者一人ひとりが変わりゆく労働法制を理解し、声を上げなければブラック企業の撲滅は果たせないだろう。