一方、ローソンは店舗でハワイアンドーナツを揚げているので、時間によっては揚げたてを食べられます。店舗でかつサンドを作ったり、ドリップコーヒーをセルフではなく手渡ししたり、ライブ感やおもてなしを大事にするローソンならではの提供の仕方ですね。
ファミリーマートは什器ではなく袋に入れて個包装で販売。発酵生地のプロである大手製パン会社との共同開発なので、おいしさはお墨付き。大衆受けする親しみやすい味にまとまっているのは、さすがです。バリエーションも10種類以上と、他社に比べて豊富で、選ぶ楽しさがありますね。意外にも男性にはクリームたっぷりのホイップ系が人気で、女性には3個入りなどミニサイズのドーナツやクッキー生地のような食感のチュロッキーが人気だそうです。パッケージの写真も高級感があって、購買欲をそそります。
各社ともにミスタードーナツと形状が似ていると言われますが、それはドーナツの「定番」から始まっているからこそ、お客さんは買いやすい。それを狙ったのでしょう。奇抜すぎると気軽に買ってもらえませんが、「あ、見たことある!」となればチャレンジしやすい。もちろん形状は似ていると言っても、その製造や流通の仕組みの開発には、企業努力があったのです。
たとえば、おにぎりだって、発売当初は梅や鮭ぐらいしかなかったんです。やっと10年後くらいに、ツナマヨネーズなどの新しい味が台頭し始めた。「何コレ!?」という新しいフレーバーや形状のドーナツが出てくるのは、これから。現段階では、まずは消費者に食べてもらうのが先決、ということでしょう。
スイーツだって、最初はシュークリームやエクレア、プリンくらいしかなかったと思いませんか。コンビニコーヒーも最近はフラッペやラテなどが登場してどんどん進化していますが、登場から1~2年は経っていますよね。ドーナツもこれからどんどん変わっていく商品だと思います。最近は、海外の人気ドーナツ店の上陸もあり、新しいドーナツが店頭に登場するかもしれません。夏や秋に向け、季節感を感じるものも続々出てくるかもしれないですね。
コンビニ各社がドーナツを提供し始めたことで、ドーナツ専門チェーンとの差別化という話がよくいわれますが、コンビニとドーナツ専門チェーンでは、ターゲット層はかぶっていないとみています。なぜなら、コンビニの商品開発は、単身者や高齢者世帯を新たなターゲット層にあげています。たとえばミスタードーナツなどの専門店に行ったら、ドーナツを5~6個まとめ買いしませんか? フレンチクルーラー1個だけ買うのはなんだか買いづらい、男性は女性客が多い中でイートインするのは恥ずかしい、という声もある。コンビニだったら、気兼ねなく1個買いできますよね。単身者の男性でもコーヒーと一緒なら、より買いやすい。