第三者委は、こうした会計は少なくとも2009年に就任した佐々木則夫社長(現・副会長)時代から行なわれていたと判断。さらにその前任の西田厚聰社長(現・相談役)の時代にもあったと見て、西田氏にも事情を聞いているとされる。歴代3社長が“調査対象”となる前代未聞の事態となった。同社の半導体部門の中堅幹部はこう証言する。
「西田社長時代に社員の評価が事業部門ごとの査定になり、部門の業績がボーナスに直結するようになった。昔からうちは上長の顔色を窺って先回りする傾向があったが、さらに上の意向を忖度(そんたく)して動く風土になっていました」
そして2009年、佐々木氏が社長に就任すると、“上からの指示”がさらに強くなっていったという。
「稟議書を提出しても、“利益が上がってない”と何度も突き返されるようになりました。仕事の進行に支障が出て、現場は頭を抱えていた」(前出・中堅幹部)
報道では、佐々木前社長や田中社長が「工夫しろ」、「なんで予算が達成できないんだ」と指示したことが明らかになっている。この中堅幹部も、同様の“圧力”を受けたと明かす。
「月1回、担当者が役員の前で事業報告する月例会では業績の悪い人間が面罵されていた。佐々木社長時代には『(利益を)もっと積め』と指示されたことがある。“会計を操作しろ”という意味に解釈するしかない状態に追い込まれていた」
※週刊ポスト2015年7月31日号