中国人によるマネーロンダリング(資金洗浄)が昨年、1兆元(約20兆円)にも達するなど、世界でも有数のマネーロンダリング大国になっていることが分かった。
不法就労者からの賃金のピンハネや脱税、犯罪行為による不法所得などで、これらのブラックマネーを海外の偽名口座への送金、株や不動産投資などが主な手口だ。米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」が報じた。
中国人が関わった大規模なマネーロンダリングとしては、イタリア・トスカーナ州の例が挙げられる。イタリアの検察当局はこのほど、マネーロンダリングと脱税の罪で、中国の大手国有銀行である中国銀行ミラノ支店と、同行行員4人を含む中国国籍者287人の計291人に対する起訴状を請求した。
同州プラートには中国系移民の一大コミュニティーがあり、「イタリアのチャイナタウン」として知られている。プラートは人口18万8000人で、そのうち中国系移民は約1万7000人だが、不法移民を含めると約5万人にも達する。
中国系移民は主に縫製工場を経営し、労働者の大半は不法移民で、彼らの給料のピンハネは日常的に行われている。
捜査が始まったのは2008年で、不法就労者の搾取や、偽造、脱税などが中国への不正送金の資金源となっていた。
調べによると、2006年から2010年にかけてイタリアから中国に不正送金された資金は45億ユーロ(約6300億円)に上り、このうち22億ユーロ(約3070億円)が中国銀行ミラノ支店経由で送金。中国銀行がこれまでに手数料として受け取ってきた金額は75万ユーロ(約1億円)とされる。
中国国内でも、腐敗が横行しており、汚職による賄賂などは海外のタックスヘイブン(租税回避地)の銀行口座に振り込んたり、不動産や株式投資などによってマネーロンダリングされているという。その大半が党政府幹部の関係者や大金持ちの企業経営者で、庶民の不満が高まっている。