「お母さん、お願いだからツイッターやめてくれない?」──都内在住の主婦・青田弥生さん(仮名・47才)はある日突然、高校生の娘からそう告げられた。実名でツイッターアカウントを作成し、3年前から1日数回、日々の出来事や思ったことを何気なくつぶやいていただけだった。
「娘の実名や写真は掲載していませんでしたが、娘の同級生が私のツイッターを発見したそうです。その同級生が“娘がかき氷を食べすぎた!”という私のつぶやきを見て、“お前、腹下してるのか~”とからかったそうです。娘からは“ツイッターをやめないなら、せめて私のことを書かないで!”とキツく言われました。私のような一般人を検索する人がいるとは思わず、気軽につぶやいたことを、反省しました」(青田さん)
以降、青田さんは実名をニックネームに変えたという。青田さんのように、ネットの個人情報がトラブルを招くケースが相次いでいる。
実際、2014年に法務局に寄せられた相談件数は全国で4390件で過去最多となり、2004年に比べ、約6倍になっている。
ネットの個人情報をめぐって裁判にまで発展するケースもある。6月下旬、さいたま地方裁判所で“ある裁判”の判決が下された。大手検索サイト『グーグル』の検索結果で、過去の逮捕情報が今も表示されるのは「人格権の侵害」だ、と逮捕歴のある男性が訴えた裁判だ。同地裁は「逮捕情報の削除」をグーグル米国本社に命じた。
判決が示すように、ネット社会ではあらゆる記録が残る。ネットで自分の名前を検索すると、写真やプロフィールなどの個人情報のほか、過去の思わぬ「黒歴史」や誹謗・中傷が表示されることまである。
ネットと個人情報の問題に詳しい弁護士の神田知宏さんが解説する。
「スマートフォンの普及により、いつでもどこでもネットに個人情報を発信できるようになりました。同時に個人情報の拡散や誹謗・中傷、プライバシー侵害などの被害も増えています」
※女性セブン2015年8月20・27日号