ファンとの距離の近さがアイドルイベントの醍醐味と語る姫乃たま
夏には様々なアイドルイベントが目白押しです。なかでも8月1日(土)と2日(日)に東京・お台場で開催された「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015(TIF)」は、出演アイドルが100組を超え観客が5万人超となり、年々、規模が拡大しています。地下アイドルでライターの姫乃たま氏が、なぜアイドルイベントが魅力的なのか、どんな楽しみ方ができるのかを紹介します。
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今年も日本最大級のアイドルフェスティバル「TIF」がお台場で開催されました。第6回目の開催にあたる今年は、両日出演予定だった二組のアイドルグループが、初日の出演後に二日目の「出演をキャンセル」したことが話題になりました。この出演キャンセルは、事実上の出禁(※出演禁止)措置で、原因は観客によるリフトやモッシュではないかと噂されています。そのため、アイドルに疎い人たちの間でも話題となりました。
アイドルだけでなく、もともとロック系の野外フェスティバルでも、客の上を泳ぐように移動するダイブや密集した客どうしで激しく推しあうモッシュなどは危険行為と呼ばれて、議論されてきました。ロック系だけでなく、近年ではアイドル側から観客に過激な応援を煽ることもあり、規制の声が年々強まっています。
なぜライブに来た観客の行動が規制されるのか。なぜ規制の声や議論は止まないのか。それくらい青空の下や、熱気が渦巻くライブハウスで、好きな音楽やアイドルに触れた時の興奮は強烈だからでしょう。大人達でも我を忘れるほどに。
無論それはそれで楽しいのですが、アイドルライブの楽しみ方はそれだけではありません。なぜいまさら、こんなに当たり前のようなことを書いているかというと、上記の出来事を受けて、アイドルに疎い人達から「アイドルライブって激しく盛り上がらないと面白くないんですか?」といったことや、「そもそも観に行ったことがない人からすると、どういう空間なのかすべてが謎」といった声まで聞かれたからです。
私自身、なにがなんだかわからないまま、初めてアイドルのライブに行った日を思い出しました。思えばたしかに、会場に入るまで「すべてが謎」でした。地下にあるライブハウスだったのですが、歌っているアイドルとの距離が物理的に近いことに驚いたのを覚えています。
しかし、私が最も心を奪われたのは、アイドルよりも観客のほうでした。会社帰りに急いで駆けつけた大人しそうな(多分、普段は本当に大人しい)サラリーマン達が、ヲタ芸をしているのが、とにかく衝撃だったのです。あの見たことがない全身を使った激しい動きと、ものすごい笑顔! アイドルのライブは、ファンの応援まで含めてパフォーマンスになっているので、変な話ですが、アイドルファンを観に行くのも面白いと思います。それなので、自分はヲタ芸はしないけれど周りが盛り上がっていると楽しくなる、という理由から、会場で静かにアイドルを眺めるのを楽しむ観客もいます。