国内

エスカレーター「急ぐ人のために片側空ける」常識を翻せるか

エスカレーターのキャンペーン、知ってる?

 急いでいる人のためにエスカレーターの片側をあけることは、本当に「マナー」なのだろうか。実はいま危険防止のため、片側をあけずに手すりにつかまろうキャンペーンが始まっている。が、浸透しているとは言い難い。大人力・コラムニストの石原壮一郎氏が考える。

 * * *
 先日試しに、そこそこ混んでいて左側は埋まっている駅のエスカレーターで、右側にボーッと突っ立ってみました。案の定、後ろからやってきたサラリーマン風のお兄さんに、露骨に舌打ちをされました。よっぽど急いでらしたんですね。すいません。

 だけど、全国のJR・私鉄・空港などでは、7月21日からエスカレーターの安全利用を呼びかける「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンを一斉にスタートさせているんです。いつの間にか定着している片側を空ける習慣は「危険な事故につながる場合もある」ということで、エスカレーターでは立ち止りましょうと呼び掛けているんです。

 キャンペーンが始まって半月ちょっと経ちましたが、見る限り、効果は上がっていません。東京の駅のエスカレータの右側は相変わらずがら空きで、元気のいい人が駆け上がったり駆け下りたりしています。大阪では、左側ががら空きになっているんでしょうか。

 日本で「片側空け」の習慣が始まったのは、1970年に開催された大阪万博の「動く歩道」がきっかけだったとか。当たり前のように普及したのは、1980~90年代以降と言われています。その頃、とくに東京では深い地下鉄駅があちこちにできて、長いエスカレーターが増えたことも影響しているとのこと。

 長いあいだ行なわれてきて、いつしか片側を空けるのが「マナー」であり「常識」となっているだけに、変えるのは容易ではありません。しかし、駆け上がったり駆け下りたりすると、けっこう危険なのも確か。お盆の時期、大きな荷物を持っている人がいつもより増えるだけに、さらに注意が必要です。そもそも、エスカレーターで立ち止まる余裕すらない日々を送るというのは、なんだか寂しい状況ではないでしょうか。

 日常を安全に過ごすためにも、日本人の生き方を考え直す意味でも、「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンは、ぜひ広がってほしいもの。そのためにどういう作戦が有効なのか、私たちひとりひとりに何ができるのかを考えてみましょう。

 キャンペーンといっても、現在のところ目につくのは駅に貼ってあるポスターぐらいです。洗練されてはいますが、おとなしめのタッチで迫力はありません。本気で「片側空け」をなくしたいなら、大人の知恵を絞りつつさらに予算をかけて、もっとインパクトのある作戦を繰り出す必要があります。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン